「第4回中国+中東欧諸国17カ国イノベーション会議」開催

(セルビア、中国、中・東欧)

ウィーン発

2019年10月18日

セルビアのベオグラード見本市会場で10月7、8日に、「第4回中国+中東欧諸国17カ国イノベーション会議」が開催された。新シルクロード経済構想「一帯一路」の一環として、2012年に発足した「中国+中東欧諸国16カ国」の枠組みは、ギリシャが2019年4月、クロアチアで開催された会議で加盟したことにより、「中国+中東欧諸国17カ国」となった。

イノベーション会議の冒頭、ホスト国としてあいさつに立ったアナ・ブルナビッチ首相は「私たちの社会にとって、デジタル化はより豊かな社会と創造をもたらものだと考えている」と述べた。また、中国のことわざに「変化の風が吹き荒れるとき、ある者は壁を築き、ある者は風車を作る」というものがあるが、世界的イノベーションという風が吹き荒れるいま、われわれは「風車を作る」ことを期待すると述べた。

さらに「Startup Genome」の最新レポートによれば、ベオグラード・ノビサド地域はコスト競争力のある高度人材・エンジニアの雇用の可能性という点で世界のエコシステムの中でトップ5以内に、ブロックチェーン技術に関しても同様にトップ5以内に位置していることを強調した。

2日間の会議には、関係各国の要人に加え、中国や欧州の産業界、投資ファンド関係者、大学関係者、研究機関関係者などさまざまな分野の300人以上が参加。人工知能(AI)、ロボット工学、スマートシティ、第5世代移動通信システム(5G)技術が紹介され、具体的なプロジェクトとしてはブダペスト(ハンガリー)からベオグラードを経由し(いわゆるブダペスト-ベオグラード高速鉄道計画)、ギリシャのテッサロニキに至る鉄道整備計画の最先端列車管理システムなどのプレゼンテーションも行われた。また現在、中国が建設計画を進めようとしている、ベオグラード近郊の町ボルチャの「テクノロジー・パーク」を、ホログラフィ技術を駆使して紹介するプレゼンテーションも行われた。

会期中、セルビアと中国の研究機関や大学、および企業などは、オープン・イノベーション・プラットホーム、レーザー研究、神経疾患の病理検査と早期診断のためのバイオマーカーの共同研究開発、高分子材料およびナノ材料分野における技術協力、天然物の研究と新薬研究など、12の覚書や契約を締結した。

閉会のあいさつに立ったネナド・ポポビッチ技術革新担当相は「7年前に『一帯一路』の一環としてこの枠組みが始まって以来、中国からこれら地域への投資は5倍に増加し、交易は50%増加している」と述べた。今後、「中国+中東欧諸国17カ国」の結び付きは、インフラ分野のみにとどまらず、科学技術分野での結び付きも強化され、相互発展に寄与することが見込まれる。

(鈴木秀男)

(セルビア、中国、中・東欧)

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