英グローバルマーケット誌、ゲデス経済相を中南米で最も優れた財務相に認定

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年10月28日

10月15日付の英国の「グローバルマーケット」誌外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、ブラジルのパウロ・ゲデス経済相を2019年に中南米で最も優れた財務大臣に認定したことをサンパウロの各紙が大きく報じた。ゲデス経済相は米国シカゴ大学の博士号を有するエコノミストで、投資銀行BTG Pactualの共同創設者の1人。2019年1月に発足したジャイール・ボルソナーロ政権の経済政策を一手に引き受けている。新政権誕生に伴う省庁再編で、経済省にはこれまでの財務省、企画開発行政管理省、商工サービス省の3省に加え、労働省の一部が移管された。

「グローバルマーケット」誌は、ゲデス経済相が汚職スキャンダルや投資の落ち込みでつまずいた中南米の経済大国を運営する大臣に就任したと解説。マーケットフレンドリーな経済運営へ市場の期待が高まる中、ボルソナーロ政権が改革を達成できるか非常に不確実だったと当時の状況を説明。少数政党が乱立する国会で中長期的な財政再建に欠かせない社会保障制度改革法案の審議をうまく導いた、とゲデス氏の手腕を評価した。ブラジルではまだ解決すべき課題が多くあるが、これまで実施してきた財政再建や社会保障改革、公営企業の民営化などで現政権は正しい方向に行っている、と同誌は付け加えている。

ゲデス経済相は10月19日に米国ワシントンで行われた受賞式には欠席したことを自身のインスタグラムで伝えた。10月22日からの上院本会議で社会保障制度改革法案の2回目の投票が行われることに備えたためで、法案は23日に上院を通過した。

ブラジル国内外の企業・投資家が参加して10月10日に開催された「ブラジル投資フォーラム」の開会式で、ゲデス経済相は戦後の日本や英国のサッチャー政権、米国のレーガン政権がそれぞれ行った変革と同様に、社会民主主義だったブラジルを改革していると強調した。また、ブラジルは自由な経済とマーケットの力が国を成長させると信じている、と訴えた。さらに、社会保障制度改革に続き、税制改革、行政改革を進め、ビジネス環境改善を行うことを説明した。天然ガスなどの分野では、独占・規制を撤廃し、競争原理の働く市場をつくり上げ、企業の生産性向上や事業コストを引き下げる方針も明らかにした。また、石油採掘権を売却することも示した。

このフォーラムに出席したボルソナーロ大統領は「経済政策は100%ゲデス大臣とともにある。プランBは存在しない」と、ゲデス経済相による経済政策運営は今後も揺るがないことを強調した。

(大久保敦)

(ブラジル)

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