欧州中小企業団体、欧州小企業憲章のアクションプラン刷新を提言
(EU)
ブリュッセル発
2019年10月01日
欧州中小企業連合会(SMEunited)のベロニク・ウィレム事務局長は9月24日、欧州委員会のユルキ・カタイネン副委員長(雇用・成長・投資・競争力担当)と面談し、今後のEUの中小企業戦略をめぐる同連合会の期待や優先課題を示した。
次期・中期投資戦略「インベストEU」に期待
ウィレム事務局長はまず、経済危機において中小企業が財務基盤を維持するため、また中小企業のイノベーションや投資促進の観点で、欧州戦略投資基金(EFSI)が重要な役割を果たした点を強調。今後について、現在13あるEU域内の投資・イノベーション・雇用創出を金融支援するための政策プログラムを、2021~2027年の中期予算枠組み(MFF)における投資促進策「インベストEU」(2018年6月14日記事参照)へ統合するという欧州委の方針を支持するものの、予算規模を維持・拡大しつつ、柔軟に政策ニーズに対応することを求めた。
加えて同連合会は、新たな中小企業戦略の柱は、欧州小企業憲章のアクションプランである「(欧州)小企業議定書(SBA)」(採択:2008年6月25日
、改正:2011年2月23日
)に基づき構築されるべきだとして、下記の課題に取り組むことを欧州委に求めた。
- 中小企業によるデジタル技術導入や環境に配慮したビジネス展開を可能にする枠組み・支援体制の整備
- 単一市場内および貿易における公平な競争環境の確立、そのための国際ルールの導入と実施
- 税制・プラットフォーム経済(ビジネス)・労働市場などについて業種・事業規模に関わらない公正な競争条件の確保
- (デジタル技術への対応など)技能(人材)不足の解消
なお、ウィレム事務局長は、上述の課題が盛り込まれた、7月2日付提言書「EUの将来に向けた、手工業・中小企業の競争力強化のための政策アジェンダ」をカタイネン副委員長に手交した。
同連合会は、ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)、欧州商工会議所(ユーロチェンバース)との9月12日付の共同声明(2019年9月13日記事参照)でも、欧州産業界全体の要請として同様の提案を行っていた。
(前田篤穂)
(EU)
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