ブラジル・中国両首脳、貿易拡大とインフラ開発協力を表明、エネルギー・科学技術研究でも協力推進

(ブラジル、中国)

サンパウロ発

2019年10月30日

ブラジルのボルソナーロ大統領は10月24~26日に中国を訪問し、習近平国家主席との25日の首脳会談を受けた共同声明で、貿易を拡大しかつ品目を多様化する意思を表明した。インフラ分野でも、ブラジルが民間イニシアチブで進める「投資パートナーシッププログラム(PPI)」と、中国の「一帯一路」構想をともに推進していくことを明らかにした。

ボルソナーロ大統領は2018年の大統領選挙期間中、自由主義国家との関係強化を訴え、政権発足当時も中国への警戒感を示していた。しかし、その後は中国への依存度が高いブラジルの貿易・投資の現実を前に警戒論を封印し、対中政策を軌道修正してきた。大統領は今回の訪中で「中国は最大の貿易相手国であり、両国は互いに相手国を必要としている」と強調。経済フォーラムでは、11月に予定される石油ガス採掘権の大規模な入札への中国企業の参加を呼び掛けた。

今回の訪中を機に、両国では貿易円滑化やエネルギー、研究・開発分野での各種協定などを締結した。主な協定や合意事項は以下のとおり。

  1. AEO(認定事業者)の相互認定による税関手続きの緩和・簡素化で合意。
  2. 中国・ブラジル・ハイレベル協力委員会(COSBAN)の役割を再認識し、2020年に10カ年計画(2012-21)と行動計画(2015-21)を策定することで合意。
  3. 再生可能エネルギー、バイオエネルギーの開発・流通・効率化に関する相互協力と第三国や国際フォーラムでの協力・調整を目的とした協定の締結。
  4. 向こう5年間で1億レアル(約27億円、1レアル=約27円)を投入するクリーンエネルギー分野での研究開発センター創設を目的に、中国長江三峡集団(China Three Gorges)子会社のブラジルCTGとブラジル全国職業訓練機関(SENAI)による協定の締結。
  5. 両国間の若手研究者や科学者の交流拡大による科学技術協力強化や共同プロジェクト推進を目的とした中国国立自然科学財団(NSFC)とブラジル高等教育機関・評価機構(CAPES)による国際協力協定の締結。
  6. 共同衛星プロジェクトや研究および訓練プロジェクトの検討を含め、宇宙分野での協力継続の意向の表明。
  7. ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)と中国科学アカデミーによる大豆作物を想定した生殖細胞の特性評価、ゲノム編集、遺伝学分野の研究開発を行う「仮想研究所」設立に向けた合意。
  8. 牛肉熱処理肉と家畜用飼料(綿ふすま)の対中国輸出衛生条件を締結。
  9. 中国の北京語・文化、伝統医学の教育を目的としたゴイアス連邦大学(UFG)と河北大学によるUFG孔子学院設立に関する協定の締結。

(大久保敦)

(ブラジル、中国)

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