外国投資規制、単一ブランド小売りの調達要件など緩和

(インド)

ニューデリー発

2019年10月01日

インド政府は8月28日、複数分野での外国投資規制の緩和を発表した(8月28日付インド政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。今回の改正で最も注目されたのは、単一ブランド小売業の調達要件の緩和だ。現在、同分野は外資100%まで自動認可ルート(注1)での参入が認められているが、出資比率51%超の場合は、製品調達額の30%をインド国内から調達しなければならない。事業開始から5年間は、その間の平均調達額で達成すればよいが、その後は毎年達成する必要がある。当初5年間はインド国内向けビジネスのみならず、輸出向けの調達も調達額に含まれる。また、これまではeコマースにおける販売は、実店舗がないと認められていなかった。今回の改正では、輸出向け調達を調達額に含む期限が撤廃され、かつ、eコマースでの販売開始から2年以内に実店舗を開店することを条件に、eコマースでの販売も認めた。

その他分野では、鉱業において、これまで一定条件下で認められていた各種金属・非金属鉱石の探鉱・採鉱の外資100%自動認可に加え、一定条件下で石炭処理プラントの設置や石炭販売を認めることになった。自動認可ルートで外資100%が認められている製造業では、これまでの規制で触れられていなかった「委託生産」についても100%の外資参入を認めることを明確化した。放送業では、これまでニュース・時事を扱うテレビチャンネルのアップリンキング事業が政府認可ルートで49%出資まで認められていたが、これに加え、今回、政府認可ルート(注2)で26%出資までを上限に、ニュース・時事のデジタルメディアによる配信を認めることが発表された。

今回の規制緩和では、インドでiPhoneの製造販売拡大を検討している米アップルなどが、インドで生産した製品を国内だけでなく海外にも販売しやすくなるといった恩恵を受けるものと報じられている(「ファイナンシャル・エクスプレス」紙8月29日)。

(注1)インド準備銀行(RBI)への事後の届出のみで、自動的に投資が認可される制度。

(注2)投資において、事前にインド商工省産業・国内取引促進局(DPIIT)から個別認可を取得する必要がある制度。

(古屋礼子)

(インド)

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