「株式会社MOMIKI」、独見本市を有効活用して販路開拓を強化

(ドイツ)

ベルリン発

2019年10月28日

ドイツは見本市発祥の地であり、世界最大の見本市大国だ。インターネットの普及に伴い電子商取引(EC)が増加する状況下においても、ドイツ企業にとって「商談の場」としての見本市の重要性に変わりはない。2019年3月にドイツ見本市産業連盟(AUMA)が発表したところによると、重要なマーケティングツールとして、83%のドイツ企業が「見本市」を選択し、ECの45%やSNSの38%を大幅に上回った(複数回答可)。

日本の中小企業も、海外への販路開拓に向けて見本市を有効活用している。10月5日~9日にケルンで開催された世界最大級の総合食品見本市「アヌーガ2019」のジャパンパビリオンに出展したMOMIKI(本社:宮崎県)は周到な事前準備が功を奏して、具体的な商談を多数行うことに成功した。

徹底した来場誘致が重要

MOMIKIは、1989年創業の黒にんにく生産・加工メーカー。同社の黒にんにくはアミノ酸やポリフェノールなどの栄養素が豊富で、世界的な健康志向の高まりを背景に海外からの引き合いも増加している。ジェトロの輸出専門家による個別支援サービスも活用し、積極的に海外販路開拓に取り組み、現在は台湾、シンガポール、香港、米国、オーストラリア、ドイツ、フランス、ベルギー、英国、ドバイなどに輸出していると籾木真一郎社長は語る。

同社はEU向けの販路開拓を進めるため、欧州の有力食品見本市アヌーガ2017(ケルン)、シアル2018(パリ)に続けて出展し、多数のバイヤー情報を収集してきた。今回のアヌーガ2019の出展に際しては、会期1カ月ほど前からこれらのバイヤー100社以上に対して個別にメールを送付。興味を示したバイヤーについては、事前に現地の同社代理店につないで価格表を送付するなど、会期中の具体的な商談に向けて周到に準備を重ねてきた。

出展者に対する営業活動も有効

出展者も同社にとって重要なターゲットになり得るようだ。会期前に、乳製品メーカー、飲料メーカー、ドレッシングメーカーなど30~40社ほどのアヌーガ出展者にアプローチしたところ、5、6件のアポイントメントを取得することに成功。「ハードルは高いが、当社製品を材料として使ってもらえないか提案営業に挑戦している」と籾木社長は語った。

同社の周到な事前準備は、より効果的な見本市活用を目指す日本企業にとっても参考になるであろう。

写真 黒にんにく関連製品などをPRする籾木社長(左)(ジェトロ撮影)

黒にんにく関連製品などをPRする籾木社長(左)(ジェトロ撮影)

(望月智治)

(ドイツ)

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