政府が宇宙ビジネスへ1億5,000万豪ドルを投資、米国との協力拡大へ

(オーストラリア)

シドニー発

2019年10月03日

オーストラリアのモリソン首相は9月22日、訪問先の米国で、オーストラリアの宇宙関連ビジネスおよび技術に対して今後5年間に1億5,000万オーストラリア・ドル(約108億7,500万円、豪ドル、1豪ドル=約72.5円)を投資することを表明した。これにより、米航空宇宙局(NASA)が推進する月面着陸と火星探査のミッションへのオーストラリア企業の参画を促し、宇宙分野での米国との協力関係を拡大する。

具体的には、オーストラリア宇宙庁とNASAが連携し、両国の協力分野・内容の詳細を決定する。オーストラリアでは、採掘作業などで既に活用されているロボット工学や自動化をはじめ、人工知能、地球観測などの分野への貢献が期待されている。1億5,000万豪ドルの予算は、こうした分野でのオーストラリア企業による実証事業の支援や、宇宙産業の国際競争力強化などに充てられる。

モリソン首相は、2030年までにオーストラリアの宇宙産業の規模を3倍の120億豪ドルに拡大し、最大2万人の雇用を創出する考えだと述べ、今回の予算がオーストラリアでより多くの雇用、新しい技術、ビジネスへの投資をもたらすとした。カレン・アンドリュース産業・科学・技術相は「成長が期待されるオーストラリアの宇宙産業にとって画期的なプロジェクトだ。また、宇宙産業への投資は、GPSの改善などを通じて災害対策や農地管理、干ばつ予測などを向上させ、日常生活にも恩恵をもたらす。」と述べ、2018年に設立されたオーストラリア宇宙庁の必要性をあらためて強調した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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