2020年の穀物生産および輸出は減少の見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月03日

ブエノスアイレス穀物取引所(BCBA)の9月25日の発表によると、アルゼンチンにおける2019/2020年度(3月~翌年2月)の主要穀物収穫量は1億3,170万トンで、前年度比2.7%減少する見通しだ。2018/2019年度は、2018年に発生した歴史的干ばつからの回復で記録的な生産量を誇ったため、2019/2020年度は輸出金額でも前年度比で約8%減少するとみられている。

主要穀物別にみると、2019/2020年度の大豆作付面積は1,760万ヘクタールで前年度比20万ヘクタール(1.1%)拡大するが、単収(トン/ヘクタール)の縮小により、生産量は5,100万トンと7.4%減少する見込み(表参照)。ヒマワリの作付面積は165万ヘクタールで13.2%減、生産量は340万トンで12.8%減少する。トウモロコシの作付面積は過去最高の640万ヘクタール(1.6%増)を記録するも、生産量は5,000万トンにとどまり、前年度より1.2%減少する見通しだ。作付け時期が早めの春季に集中されることで、単収が減少することが原因とみられる。他方、冬季中に作付けを開始した小麦の場合、作付面積が40万ヘクタール(6.5%)拡大し、生産量は2,100万トン(10.5%増)と記録的に伸びる見込。

表 主要穀物類生産量の推移

BCBAは、2020年のアルゼンチンのGDPに占める農業分野の割合が6.8ポイント縮小するとみている。また輸出額では、2019年は285億ドルに達すると想定されているが、これも2020年は2019年比で8%減少するとされている。8月11日に実施された大統領選挙の予備選挙結果を受け、政権交代することになれば、主要輸出品である農産品の輸出税率引き上げの可能性が強まるなど、農業分野に対してとられる政策の先行き不安感が高まっている、と説明する。通貨ペソ安が進むことによる、生産コスト上昇も予想される。2019/2020年度と前年度を比較すると、生産コストなどは、トウモロコシが1ヘクタール当たり525ドルから538ドルに、大豆が238ドルから245ドルに上昇するという。天候に関しては、現時点で降水量の低さが懸念されているが、10月から夏に向けて徐々に改善していく見通しで、状況が悪化する可能性は低い、とBCBAの専門家は語る。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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