ホーチミン市食品企業、製造施設を周辺省に移設へ
(ベトナム)
ホーチミン発
2019年10月09日
ホーチミン市を拠点とする食品関連企業が、周辺省への製造施設の移設を計画している。同市に本社を置くサイゴン商業総公社(SATRA)傘下の食肉加工大手ビッサン(Vissan)は、同市西部と隣接するロンアン省の工業団地に製造施設を建設するため、1兆5,000億ドン(約69億円、1ドン=約0.0046円)を投資した。また、卵を生産する養鶏農家も、周辺省への移転計画があるという。「ベトナムニュースエージェンシー」が報じた(9月23日)。
ホーチミン市食品食料協会(FFA)会長のリー・キム・チ氏は、「ベトナム主要産業の1つである食品産業は、2019年に入り停滞している。アフリカ豚コレラの影響により豚肉需要が落ちたことや、輸送費、倉庫賃料、電気代、賃金といった製造コストが上昇したことが原因だ」と指摘する。さらに、「輸出相手国における規制が強化されたことも、マイナスの影響を与えた。特に最大の輸出先である中国が、輸入水産物への課税のほか、商品の原産性や品質認証など新たな規制を設けた」と話す。米国、日本や韓国への輸出においても、品質基準などが課題となっているという。
生産規模が小さい企業などは、土地使用料が比較的安価な周辺省に製造施設を移しているとする。ホーチミン市周辺省で、同市北部に隣接し新都市開発が進むビンズオン省や、同市東部に接し新空港開発予定のあるドンナイ省などは、工業団地や道路といったインフラが整備されている。
現地の貿易専門家は「食品関連企業が生産能力を強化するため、また輸出市場の要求する品質基準を満たすため、そして国内における市場競争力を向上させるためには、政府は企業が銀行ローンを利用しやすく、技術力が向上するよう支援すべきだ」と指摘している。
(小林亜紀)
(ベトナム)
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