米イリノイ大、CO2利用の完全充電式のリチウム電池を開発

(米国)

シカゴ発

2019年10月03日

米国のイリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究者は9月25日、二酸化炭素(CO2)を用いた完全充電式のリチウム電池の試作品開発に初めて成功したと発表した。リチウムCO2電池は通常のリチウムイオン電池の7倍以上のエネルギー密度を持ち、同じサイズでより大容量の電気を蓄えることができる。リチウムイオン電池の主な用途である電気自動車(EV)では、航続距離が大幅に延びるなどのメリットがある。これまでのマサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究成果では、連続充電サイクルが10回程度と低いことが課題だったが、今回のUICの研究では、最大500回の連続充電サイクルで動作させることに初めて成功した。論文はアドバンスト・マテリアルズ誌(8月22日発刊)に掲載されている。

この成果に対して、UIC工学部のアミン・サレヒ・コジン准教授は「リチウムCO2電池は長い間魅力的な素材だったが、これまで真に実用的に動作する電池を作り出すことができなかった。私たちの研究では、独自の素材を組み合わせることによって、はるかに効率的で連続充電サイクルの多い、つまり先進エネルギー貯蔵システムで活用できるような電池となった」と述べている。

米国中西部のイリノイ州では、イリノイ大学以外にも、オイルショック以降50年以上もバッテリーの研究を続け、EVのシボレー「ボルト」の電池を開発したアルゴンヌ国立研究所や、電池に使われる材料科学で著名なノースウエスタン大学など研究機関が集中しており、ナノグラフなどのバッテリー・スタートアップが活躍している(2019年1月17日付地域・分析レポート参照)。

(河内章)

(米国)

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