第3四半期の輸出指数がさらに悪化、過去3番目に低い水準に

(香港)

香港発

2019年10月02日

香港の貿易促進機関の香港貿易発展局(HKTDC)は9月23日、2019年第3四半期(7~9月)の輸出指数(注)が前期から9.9ポイント下落し、27.4ポイントだったと発表した(図参照)。2四半期連続で前期を下回り、2006年に香港貿易発展局が統計を開始して以来3番目に低い数値となった。また、30ポイントを下回ったのは2009年第1四半期(1~3月)の25.8ポイント以降で初めてだった。

図 輸出指数の推移(四半期ベース)

品目別にみると、電子機器、玩具、機械が前期から約10ポイント低下したほか、宝飾品に至っては17.1ポイント下落するなど、全品目で指数が低下した(表1参照)。

表1 品目別輸出指数の推移

主要市場別では、全ての国・地域向けで前期から低下した。EU向けの落ち込みが最も大きく、5.5ポイント低下の41.3ポイントとなった。米国は3.7ポイント低下の39.0ポイント、中国本土は4.2ポイント低下の43.2ポイントだった。日本は47.5ポイントと前期から2.1ポイント低下したものの、主要市場の中では最も高い指数だった(表2参照)。

表2 主要市場別輸出指数の推移

今回の調査結果を受け、香港貿易発展局の曽詩韻(アリス・ツァン)首席エコノミストは「香港の輸出企業が今後の見通しに対し総じて懸念を示していることを反映している」とコメントした。

米中貿易摩擦の影響を受けていると回答した企業は過半数に

輸出指数調査と併せて実施した米中貿易摩擦に関するアンケート調査では、貿易摩擦によって「大いに影響を受けている」「わずかに影響を受けている」と回答した企業の割合は、第3四半期で51.2%に上り、前期から9.9ポイント上昇した。一方、「影響を受けていない」とした企業は47.8%と10.5ポイント下落した。具体的な貿易摩擦の影響内容については、「受注減」と回答した企業が73.4%と最も多く21.0ポイント上昇。このほか「値下げ要求」が4.2ポイント上昇し44.1%、「関税コストの一部負担」が4.6ポイント上昇し27.7%だった。

貿易摩擦への対応策としては、「米国以外の市場開拓」(45.3%)、「値下げ」(23.9%)、「生産拠点の移転・調達先の変更」(23.4%)といった回答が目立った。

(注)輸出指数は香港の輸出企業の景況感を表す指標。50ポイントを上回る場合は「輸出拡大」、50ポイント未満が「輸出縮小」を示す。

(吉田和仁)

(香港)

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