フェルガナ盆地から初のフルーツワインの輸出始まる

(ウズベキスタン、ラトビア)

タシケント発

2019年10月21日

2019年10月18日に、ウズベキスタン東部のフェルガナ盆地からフルーツワイン(ブドウ以外の果実から醸造された果実酒)の欧州向け輸出が開始された。輸出を開始したのはウズベキスタン、フランス、アゼルバイジャン3カ国の合弁企業フェルガナ・フランス。同社によると、フェルガナ地方からのフルーツワインの国外輸出は史上初めて。

初出荷は、ラトビア向けのチェリー酒(ワイン)でボトル1万5,000本。継続輸出となれば、ラトビア向けに月4万5,000本(輸送トラック3台分)のほか、リトアニア向けに月1万5,000本(1台分)、中国向けに月7万5,000本(5台分)などの出荷が予定されている。さらに、ロシア、ドイツ、タジキスタン向けなどへの輸出交渉も進んでいる。

同社の実質的な設立は2012年。当初、果実原液などを製造していたが、2015~2017年にイタリアやブルガリアから醸造装置を導入し、2018年にはアゼルバイジャンとフランスの資本が入り、合弁企業となった(ウズベキスタン資本が80%)。同年に酒類製造免許を取得し、2019年から輸出を開始した。ブドウ品種によるワインのほか、ザクロ、チェリー、マルメロ(アイワ)の醸造酒、ブドウ、マルメロ、ザクロのブランデー(蒸留酒)を製造。フランス人による技術指導も、定期的に行われている。

同社によると、フェルガナ地方には産業規模での酒類醸造場が2カ所あり、製品ラインアップは、同社がワイン含む果実酒が中心で、他の1社はウオッカなどの蒸留酒が中心のため、同じ製品カテゴリーの競合はないという。自社ブランドはあるが、会社オーナーの考えにより、顧客の希望に合わせたバルク売りやOEM(相手先ブランド名製造)などにも柔軟に対応している。

ウズベキスタンでは、タシケント州(パーケント)、サマルカンド州がワインの産地として有名だ。一方、同社でブドウ栽培を管理する技師長は、フェルガナ地方の特徴を「周囲の山からの豊富な伏流水、日照時間の長さ、適当な湿度、昼夜の気温差、堆積土壌など、果実の生育に適した環境がそろっている」と説明する。今後、同社は(ザクロの本場である)アゼルバイジャンからの品種移植などを通じて、製品のラインアップを増やしていく予定。また、同社は工場(ワイナリー)を開放しており、国外からの試飲や見学ツアーを受け入れている(注)。ワイナリーにはレストランが併設され、ワインに加え、チェリーなど蒸留前の果汁を飲むこともできる。

対外関係担当副社長のママダリエワ・セバラ氏は「酒類製造免許を取得してから1年半で輸出を達成できた。モスクワの展示会での反応も良く、11月には上海の見本市にも参加する。輸出を想定し、生産規模を拡大していきたい」と意欲をみせている。

写真 フェルガナ・フランスのワイナリー正面(ジェトロ撮影)

フェルガナ・フランスのワイナリー正面(ジェトロ撮影)

写真 主発酵工程のタンク(ジェトロ撮影)

主発酵工程のタンク(ジェトロ撮影)

写真 ママダリエワ・セバラ副社長(ジェトロ撮影)

ママダリエワ・セバラ副社長(ジェトロ撮影)

写真 ブドウの収穫は8月15日から11月15日まで(ジェトロ撮影)

ブドウの収穫は8月15日から11月15日まで(ジェトロ撮影)

(注)旅行会社を通じて、受け入れを行っている。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、ラトビア)

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