請求書の記載義務事項不備に、10月1日から最高37万5,000ユーロの罰金

(フランス)

パリ発

2019年10月01日

フランスで10月1日から請求書の記載義務事項が追加され、不備に対する行政罰が強化される。事業者間の請求書に不備がある場合の罰金の上限が、自然人は1万5,000ユーロから7万5,000ユーロに、法人は7万5,000ユーロから37万5,000ユーロに引き上げられる。1回目の処罰から2年以内に不備を繰り返した場合、罰金額はそれぞれ2倍となる。行政罰に加えて一般税法典が定める税務上の罰金も、従来どおり、請求書金額の4分の1を上限に、不備の事項ごとに15ユーロが科される。

4月24日付のオルドナンス(命令)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより今回追加された請求書の記載義務事項は、「納品先と異なる場合、請求先の住所」と「買主が発行している場合、注文書の番号」の2点。

追加されたこの2点を含む請求書の記載義務事項は以下のとおり。

  • 請求書の日付、番号
  • 商品の納品日または役務の提供(終了)日
  • 売主情報:売主または役務提供者の企業の正式名称、住所、企業識別番号(SIREN)または事業者番号(SIRET)、産業分類コード(NAF)、企業形態(有限、株式など)、資本金、商業従事者の場合は商業登記簿番号(RCS)と登記場所、手工業者の場合は職業登録番号および登録場所
  • 顧客情報:企業名(個人の場合は個人名)、住所、請求先の住所(納品先と異なる場合)、納品先の住所
  • 注文書の番号(買主が発行している場合)
  • VAT番号(税抜き150ユーロ以下の取引の場合、記載義務なし)
  • 提供する商品・役務の内容および明細:商品の情報(商品・商標名など)、役務の情報(素材、労賃)、数量、税抜き単価、VATの適用税率、割引率(割引がある場合)
  • 支払い日もしくは期限(注)、支払いが期日までに行われない場合の違約金の割合、および支払い遅延の場合の回収費用の一時金(40ユーロ)に関する情報
  • 免税など特殊な税制が適用される場合、その根拠法

請求書は原則としてフランス語で2部(うち原本は顧客用)作成し、10年間保管する必要がある。行政当局は、外国語で作成された請求書については法廷翻訳を要求することができる。また、外貨での請求書の発行も可能だが、ドルやポンドなど国際的に認識され交換可能な外貨で、企業の経理上ユーロで計上することが条件となる。

(注)記載がない場合、商品受領後もしくは役務履行後、最大30日が支払い期限である旨、法律で定められている。

(奥山直子)

(フランス)

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