祭事商戦、eコマースは好調な滑り出し

(インド)

チェンナイ発

2019年10月21日

インドのeコマース各社が祭事商戦で売り上げを伸ばしている。米国ウォルマート傘下のフリップカートと、米国アマゾンが運営するアマゾン・インディアは、9月29日から10月4日にかけて祭事商戦の第1弾キャンペーンを実施した。市場分析などを手掛ける地場コンサルティング会社レッドシアー・マネジメント・コンサルティングによると、両社を含むeコマース企業による上記6日間の流通総額が、前年比30%増(注)の30億ドルに達し、過去最高を記録したという(「エコノミック・タイムズ」紙10月11日)。レッドシアーによると、祭事商戦の第1弾キャンペーンによる流通総額が例年、祭事期全体の45~55%を占めるとしており、2019年の祭事期(9月末から10月末まで)の流通総額は60億ドルに達すると予想している。

インドでは、祝祭期に合わせて消費が活発になる傾向にあり、特にヒンドゥー教徒の灯明祭に当たる「ディワリ」前には、年間を通じ最も消費が活発になるタイミングだ。ヒンドゥー暦に基づく2019年の「ディワリ」は、10月27日(インド国内でも地域によって日にちが異なる)となっている。

景気低迷も、拡大を続けるeコマース市場

インド商工省とインド工業連盟(CII)によって設立されたインド・ブランド・エクイティ基金(IBEF)によると、インドのeコマース市場は、2017年に385億ドルだった市場規模が、2027年までに2,000億ドルに達すると予想される。

足元では、インドの2019年度第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比5.0%と、2013年以来6年ぶりの低成長になり、GDPを構成する需要項目のうち最も寄与度が高い民間最終消費支出(個人消費)は3.1%増にとどまるなど、インドは景気低迷期にある。しかし、eコマースによる販売は2019年の祭事商戦でも好調を維持している。

特にスマートフォンを筆頭に、ノートパソコン、テレビなどの家電製品、ファッションアクセサリー、化粧品などがよく売れているもようだ。また、フリップカートとアマゾンは、好調の要因として、大都市に比べブランド品へのアクセスに制約のある中小規模都市での販売増加を挙げている。2019年の祭事商戦における第1弾キャンペーンについて、フリップカートは「同期間の閲覧数は700億件に達し、新規顧客が前年比約5割増となった」としている。また、アマゾンは「全国で郵便番号を持つ地域の99.4%から注文を受け、記録的な売上高となった品目もあった」としている(「ザ・ヒンドゥー」紙10月5日)。

(注)2018年の祭事商戦第1弾キャンペーンが実施された10月9日から14日までの6日間と比較している。

(坂根良平)

(インド)

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