マドリッド協定議定書が発効、商標登録手続きが簡易・迅速化

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年10月09日

商標の国際登録手続きを簡易・迅速化するマドリッド協定議定書が、10月2日にブラジルで発効した。ブラジルは2019年7月2日にマドリッド協定(加盟105カ国)に加盟外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、国内法規整備により今回の発効に至った。中南米では、コロンビア、メキシコに次いで3カ国目の加盟国だ。

従来、日本のブラジルへの商標出願人は、ブラジル産業財産庁(INPI)に出願する必要があったが、マドリッド協定議定書の発効により、他の同協定協約国複数と同時に、日本の特許庁を通じて商標を出願できるようになる。このため、ブラジルを含めて複数の商標権管理が容易になり、各国ごとの商標登録料金支払いが不要となり、より簡易・迅速かつ低コストでの商標登録が可能となる。ブラジルは、マドリッド協定議定書による商標登録の出願を受けて18カ月以内に審査を完了すると宣言しているが、審査期間短縮に取り組むINPIは、現時点で、長くても8カ月で審査が可能だとしている。全国工業連盟(CNI)によると、2018年以前の商標登録は平均24カ月を要していたとしており、今後はブラジルへのより迅速な商品・ブランド展開に寄与しそうだ。

マドリッド協定議定書への加盟は、ミシェル・テーメル前政権時の提案だった。2019年1月に発足したジャイール・ボルソナーロ新政権下で、2019年上半期に国会承認され、同政権は産業界の要請を受けて、各分野のビジネス環境整備を急ピッチで進めていた。2019年6月から発効した、オーストラリア、カナダ、米国、日本からの90日以内の訪問ビザ免除などと並ぶ、ビジネス環境改善への具体的な成果といえそうだ。ブラジル企業による商標の国際登録も容易になり、CNIは「ブラジルがマドリッド議定書を順守することで、特にブラジルの中小企業が、簡単に海外で自社のブランドを保護される恩恵を受けるだろう」と表明している。

(大久保敦)

(ブラジル)

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