米国ペイパル、中国で外資初の決済サービス市場参入

(中国)

広州発

2019年10月18日

米国決済サービス大手のペイパルは9月30日に、中国人民銀行から中国の決済事業のライセンスを保有する国付宝信息科技(GoPay)の株式70%取得の承認を受けたと発表した。買収手続きは2019年第4四半期に完了する予定。外資企業として、初の中国決済サービス市場への参入となる。

GoPayは2011年に設立した第三者決済機関で、中国人民銀行が発行したライセンスに基づき、オンライン決済およびモバイル決済、ファンド決済、クロスボーダー人民元決済、プリペイドカード発行などの業務を展開している。

中国では、銀行以外のノンバンクが決済事業を行うためには、中国人民銀行から第三者決済機関のライセンスである「決済業務許可証」を取得することが義務付けられている。取得条件は、中国国内に設立された企業で、全国規模で決済事業を行う場合は登録資本が1億元(約15億円、1元=約15円)以上、申請日まで黒字経営を2年以上継続しており、かつ金融機関や電子商取引(EC)に対する情報処理支援サービスを2年以上提供しているなど、厳しく定められている。同許可を取得しているのは、2019年9月時点でAlipay(支付宝)、WeChatPay(微信支付)、China UnionPay(中国銀聯)など237社。外資系の決済機関の業務範囲や、外国企業による出資資格・条件、出資比率などは別途、定めるとされていたが、明確な条件は示されておらず、事実上、外資は参入できない状況が続いていた。

ペイパルは、2015年からChina UnionPayとの業務協力をスタート。これにより、銀聯カードを所持する消費者が越境ECサイトで買い物をする際や、海外旅行時の宿泊料金や留学時の学費などを外貨で支払う際に、ペイパルを利用できるようになっていたが、決済事業のライセンスがないため、中国国内における人民元決済には対応できなかった。

海外の決済サービス大手が中国市場への参入を熱望する中、中国政府も規制緩和を進める姿勢を示し、2018年3月に「中国人民銀行公告(2018)第7号」を発表。これにより、外国企業は中国国内に法人を設立した上で、中国企業と同様の条件で「決済業務許可証」の取得が可能となった。

ペイパルのダン・シュルマン社長兼CEO(最高経営責任者)は9月30日のプレスリリースにおいて、「中国でオンライン決済事業のライセンスを取得する初の海外プラットフォームとなることを光栄に思う」と述べた。

(盧真)

(中国)

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