1~9月の新車乗用車販売、前年同期比2.0%減

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年10月25日

在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)の発表(10月4日)によると、2019年1~9月の新車乗用車の販売台数は前年同期比の2.0%減の127万1,392台だった。直近の第3四半期(7~9月)の販売台数は44万2,642台で、前年同期比1.2%減となった。上半期の2.4%減(2019年7月19日記事参照)と比較すると、減少傾向にわずかにブレーキがかかっている。ブランド別の販売台数は表のとおり。

表 2019年1~9月のブランド別販売台数

AEB自動車製造者委員会のヨルグ・シュライバー委員長は、9月単月の自動車販売台数が前年比0.2%減にとどまったことを受け、2019年が通年で前年比減の見込みであることと比較して「悪くない結果」とする一方で、ロシア政府で2020年の自動車リサイクル税引き上げの検討が現在進んでいることから、長期的な販売の見通しの悪化に懸念を示した。

自動車関連ニュースサイト「ザ・ルリョム」のキリル・ミレシキン氏は、2019年初来の自動車市場の停滞の原因を消費者の購買力の低下にみている。ここ1年で新車乗用車の最終価格が約10%上がったが、消費者の実質所得はほとんど変わっていないことから、自動車が相対的に高くなって、消費者に割高感を抱かせていると指摘している(「ザ・ルリョム」8月1日)。

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は9月に発表したレポート「2019年上半期のロシア自動車市場の概観と成長展望」の中で、これまで影響を与えている、あるいは今後影響を与える可能性の高い指標や動向を指摘している。悪材料としては、2019年1月1日からの付加価値税の引き上げ、新規の経済制裁が導入された際のマクロ経済の悪化、通貨のボラティリティー(変動幅の大きさ)の拡大、政府による自動車産業支援策の縮小があり、好材料としては、追加の経済制裁などの外的要因がない場合に期待される市場の自然成長や、2020年1月からの自動車リサイクル税引き上げ直前の駆け込み需要を挙げている。

(一瀬友太)

(ロシア)

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