10月23日から全ての職場にメンタルヘルス対策を義務付け

(メキシコ)

メキシコ発

2019年10月15日

職場のメンタルヘルス対策に関するメキシコ公式規格(NOM-035-STPS-2018)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが10月23日に発効する。このNOMは2018年10月23日に官報公示されたが、雇用主に対して1年間の準備期間を与えていた。NOM規制は段階的に適用され、当初は雇用主に多くの義務が課されることはないが、1年後の2020年10月23日以降は、職場(事業所)の従業員数に応じてより詳細な義務が設定される。

10月23日から義務付けられる内容は、従業員の規模にかかわらず、NOM第8.1条や8.2条の内容に即した職場における最低限の心理社会的リスク予防策の策定と導入、仕事に関連して重度の心的外傷を受けた労働者の特定とその労働者に対するケア、職場内のホットライン(告発メカニズム)の設定、予防策や心理社会的リスクに関する労働者への情報提供の実施(表1参照)。予防策については、NOM付属文書の手引書IVにひな型がある。重度の心的外傷を受けた労働者の特定方法に関しては、手引書Iにアンケートフォーマットがあり、それに基づいて該当した労働者を診療所に通わせるなどのケアが必要となる。

表1 2019年10月23日以降に職場の雇用主に課される義務

2020年10月23日以降により詳細な対策を義務付け

NOMは付則2条に基づき、5.2、5.3、5.6、5.8、第7章、8.3、8.4、8.5条については官報公示の2年後(2020年10月23日)に発効するとしている。その時点で雇用主に義務化される内容は従業員数の規模に応じて異なり、表2のとおりとなる。従業員数が15人以下の事業所には追加の義務は発生しない。

表2 2020年10月23日以降に職場の雇用主に課される義務

従業員数が16~50人の事業所は、最低2年に1回は全従業員に対して心理社会的リスクの特定と分析を目的としたアンケート調査を実施する。手引書IIにアンケート票のひな型がある。その結果に基づき、該当する労働者に対しては健康診断あるいは心理検査を実施し、職場におけるリスクを軽減するためのより詳細な対策の導入が求められる。従業員数が50人を超える職場については、最低2年に1回は心理社会的リスクの特定と分析に加え、職場環境に対する評価が必要となるが、調査対象数が多いため、全数調査ではなく標本調査で実施する。手引書IIIに調査のひな型がある。従業員数が50人超の事業所については、調査結果に応じて職場環境改善策の導入も求められる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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