工業団地でのワーカー増加で住宅供給不足が深刻に

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年10月15日

ベトナム国内の多くの工業団地で、ワーカー用住宅の供給が不足している。9月25日付のベトナムニュースエージェンシーが報じた。

ベトナム労働総同盟のファン・バン・アイン副委員長は「工業団地で働くワーカーは地方からの出稼ぎが多く、国の総労働人口の50%以上を占める。そのうち70%は南部のホーチミン市やドンナイ省、ビンズオン省に属する。ワーカー数は年々増加しているが、工業団地開発計画にはワーカー用の住宅は含まれていない」と話している。

建設省住宅不動産管理局のグエン・チョン・ニン部長によると、住宅を求めるワーカーは、2018年時点で120万人だったが、2020年までに170万人になると見込まれるという。これまで33万人に住宅が供給された一方、各省・市では226の公営住宅計画が中断または遅延している。ニン部長は「公営住宅用の土地不足も問題となっている」と訴える。

ワーカーが公営住宅を購入する場合、煩雑な行政手続きが大きな障害となっている。資金については、親族などからの借金が難しいと、銀行から借り入れる。ベトナム中央銀行ホーチミン支店のグエン・ホアン・ミン副支店長は「各商業銀行はアパート販売価格の70~80%相当のローンをワーカー個人に貸し付け、利息は9~12%だ」と話す。

ビンズオン省では、ベトナムの公営デベロッパーのベカメックスIDCが「社会住宅」(ワーカー用分譲アパート)を5,000ドルで販売している。同社マーケティング部副部長の植松完二氏は「ワーカーが持ち家を購入することが社会の安定につながるため、省政府の支援を受けて、利益は考えずに低価格を実現している。共働き世帯が低利住宅ローン(10年)を組んで購入している」という。

(小林亜紀)

(ベトナム)

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