個人の海外口座保持を自由化、外貨現金持ち出し規制も緩和

(ウズベキスタン、米国)

タシケント発

2019年10月31日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は10月22日、共和国法第573号「共和国法『通貨管理について』の追加・修正について」に署名し、即日公布、施行された。外貨規制のルールが改正され、一部が変更、緩和になった。

今回の改正で禁止された事項は以下のとおり。

・ウズベキスタン国内での外貨、外貨相当額による商品、労務、サービス価格の記載(第9条、注1)

規制が緩和され、可能となった主な事項は以下のとおり。

  1. ウズベキスタン居住者・自然人による、国外での銀行口座の開設と外貨の保持(第12条、注2)
  2. 国外で居住者が保有する外貨口座から国内の自身の外貨口座への無制限の送金(同)
  3. 1億スム(約120万円、1スム=約0.012円)相等額を超えない金額までの、自然人の間での非貿易的性格(注3)の国外送金(第15条)
  4. 1億スム相等額を超えない金額までの、自然人による外貨現金の持ち出し(第22条、注4)

このほか、中央銀行に認められていた「経済安全保障上の脅威」発生時に外貨規制を発動できる権限が閣僚会議に移管された。発動された外貨規制の期間は1年を超えることができず、それを過ぎると規制は自動的に失効したと見なすことが明記された(第21条)。

米国ワシントンで10月22日に開催された「米国=ウズベキスタン・ビジネスフォーラム」であいさつした米国のウィルバー・ロス商務長官は、こうした外貨自由化政策を含むウズベキスタンの経済改革路線を歓迎するコメントを発表している。

(注1)商品・サービス価格をドルなどの外貨で表示する手法は通常「y.e.」と表記され、物価変動が激しい国などで用いられる。ロシアでは2014~2015年にかけて規制が強化され、価格はルーブル単位での表記に統一された。

(注2)法人に関しては、大統領もしくは閣僚会議の決定、もしくは国際条約による取り決めが必要。

(注3)個人利用の物資・サービス・役務の支払い、給与・奨学金などの送金、学費・治療・観光の支払いなど。

(注4)以前は5,000ドル相等額以上の外貨現金の持ち出しは許可制となっていた。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、米国)

ビジネス短信 10d907f1d47ae1db