第2四半期GDP成長率、前年同期比でプラス成長も今後は厳しい見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月01日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は9月19日、2019年第2四半期の実質GDP成長率を発表した。前年同期比0.6%と、5四半期ぶりのプラス成長となった。一方、前期比(季節調整済み)ではマイナス0.1%と6期連続のマイナス成長を記録し、高金利政策、失業率の上昇および実質賃金の低下のために国内消費が低下している、とエコノミストは指摘する。

前年同期比の成長率を産業部門別にみるとは、農業・牧畜・狩猟・林業が、歴史的干ばつに見舞われ穀物輸出が低迷した前年からの反動で46.0%と急上昇したが、それ以外のほとんどの産業ではマイナス成長となった(表参照)。最も減少幅が大きかった産業は金融仲介(マイナス13.5%)で、商業(大手・零細)・修理はマイナス9.3%、製造業はマイナス6.7%となった。

需要要素別では、総固定資本形成が高金利などの影響で18.0%減少している。さらに、通貨安と高インフレにより実質賃金が前年比10%近く減少したことから、民間消費支出が7.7%減少した。一方、財・サービスの輸出は、穀物の収穫量増加を受け15.0%増加した。

表 四半期別の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

第3四半期のGDP成長率については、前期比マイナス1%程度になると、現地の民間コンサルタント会社は予想する。8月11日に実施された大統領選挙の予備選挙後に発生した通貨アルゼンチン・ペソの急落とインフレ加速による影響が大きい。現地報道では、2019年のGDP成長率見通しはいずれも厳しい見方だ。「ラ・ナシオン」紙(9月19日)はマイナス2.8%、「クラリン」紙(9月19日)もマイナス3.8%と予測する。また、「クラリン」紙によると、2020年のGDP成長率見通しが予備選挙前には2.1%と見込まれていたが、予備選挙後にはマイナス1.4%と大きく下振れしており、政権交代の可能性が高まることで経済成長が鈍化することが懸念されている。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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