カタールにおけるデジタルとスポーツ分野の商機をアピール

(カタール)

中東アフリカ課

2019年10月04日

カタール金融センター(以下、QFC)は9月30日、ジェトロと「カタール・ビジネスセミナー」を東京で共催した。セミナーでは、デジタル関連市場やスポーツ・ビジネス市場など、新たな分野のビジネスチャンスを日本企業向けに紹介した。

カタールは世界屈指の液化天然ガス(LNG)輸出国で、世界でも有数の高い1人当たりGDPを誇る富裕国だが、近年は国家政策「カタール国家ビジョン2030」の下、産業の多角化に積極的に取り組んでいる。

QFC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、2005年に設立された独自の法規制、税制、インフラ、ワンストップサービスなどを提供する政府系の企業誘致機関で、所管するエリア内では100%外資での会社設立が可能。近年は金融以外の業種の企業誘致も進めており、QFCビジネス・デベロップメントのマジェド・アルアマリ・アナリストは「10%の法人税など、企業にとって非常に競争力のある環境を用意している」と強調した。

デジタルとスポーツの2分野については、QFCビジネス・デベロップメントのジャホン・ブルホノフ副社長が魅力をアピールした。デジタル分野では、TASMU外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますという政府主導のスマートシティ・プログラムが進んでおり、5部門で107件にわたる革新的なプロジェクトの入札、デジタルクラスターの開発、イノベーティブな人材の育成などが行われている。

スポーツ分野では、サッカーFIFAワールドカップ2022の開催を控え、2023年の市場規模は200億ドルになると予測されている。屋内外両方の競技施設の運営、トレーニング・訓練、専門医療サービスなど総合的に提供するスポーツ複合施設「アスパイア・ゾーン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の設営、インキュベーターとして起業を支援する「カタール・スポーツテック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」など、各種案件が進展している。

写真 ブルホノフ副社長の講演(ジェトロ撮影)

ブルホノフ副社長の講演(ジェトロ撮影)

日本からはQFC進出企業を代表して、三菱UFJ銀行の菊池昌人ドーハ出張所長が講演を行い、現地経験を踏まえてカタールと日本との歴史、政治・経済関係などを説明した。スタジアム建設、ドーハ・メトロ、淡水化施設、LNG増産など多くのメガプロジェクトが推進されており、進出日系企業数(日本人会の登録企業数)はセミナー時点で22社、うちQFCには同行を含む5社が拠点を置く。2017年6月から続く、湾岸協力会議(GCC)諸国などとの断交問題については、カタール国内で人気の高いタミーム首長を中心に団結しており、ドバイとの移動面などで不便はあるが、現地で生活する分には支障は全く感じない、とのことだった。

写真 講師とカタール関係者一同による記念撮影(ジェトロ撮影)

講師とカタール関係者一同による記念撮影(ジェトロ撮影)

(米倉大輔)

(カタール)

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