ナイジェリアCcHubがケニアiHubを買収、インキュベーション機能を強化

(ケニア、ナイジェリア)

ナイロビ発

2019年10月09日

ナイジェリアのインキュベーションセンターCo-Creation Hub(CcHub)は9月26日、ケニアのアイハブ(iHub)を買収したと発表した(CcHubプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますiHubプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。取得額は明らかにしていない。

CcHub創業者のボスン・ティジャニCEO(最高経営責任者)は9月27日、ジェトロの取材に対し、「買収によりCcHubの資産をiHubの現存サービスに付加し、コンサルティングや人材および事業マネジメント、施設内コミュニティ支援を強化する」と話した。

iHubは2010年にケニアの首都ナイロビで、他に先駆けて創業されたコワーキングスペース・インキュベーション施設だ。2017年のカナダ系BSP Fundsによる買収を経て、2度目の買収となった。太陽光エネルギーで動くタブレットやルーターを開発するブリック(BRCK)、教科書のオンライン販売を展開するエネザ・エデュケーション(Eneza Education)をはじめ、これまで約500社のスタートアップが入居し、累計約4,000万ドルを調達した。

一方、2011年にナイジェリアのラゴスで創業したCcHubは、これまでグーグルやファイスブック、オラクルなどと連携し、起業家支援プログラムを展開してきた。そのコミュニティは1万4,000人に上る。CcHubは2019年2月に、ルワンダのキガリにアフリカで初めてプロダクトデザインとテックイノベーションに特化したデザインラボ(Design Lab)を展開し、東アフリカへの布石を打っていた。今回の買収で、「アフリカ域外のパートナーとの連携や、テクノロジーの開発・促進をアフリカ全域で即座に可能にしていく」と、ティジャニ氏は意気込む。また、2019年8月末には、アフリカの有望スタートアップ10社を選抜しアジアツアーを実施した。訪れた日本では第7回アフリカ開発会議(TICAD7)に参加し、ジェトロなどと共催で8月30日、横浜で「アフリカ・日本スタートアップピッチ」を開催した(2019年9月6日記事参照)。

写真 TICAD7ピッチイベントに登壇するボスン・ティジャニ氏(ジェトロ撮影)

TICAD7ピッチイベントに登壇するボスン・ティジャニ氏(ジェトロ撮影)

アフリカには2019年現在で618のテックハブがあり、ナイジェリアにはアフリカで最多の85拠点が、4位のケニアには48拠点が確認されている(GSMA・Briter Bridges調べ)。ナイロビでは2010年以降、インキュベーションやコワーキングスペースの需要が高まり、2010年にナイラブ(Nailab)、2014年にナイロビ・ガレージ(Nairobi Garage)、2016年にはイキガイ(Ikigai)が相次いでオープンした。現在は差別化の段階にあり、製造業向け3Dプリンターの常設、会計・人事サービスやヨガレッスンを提供する施設もある。今回の買収は、アフリカで最も競争力の高いナイジェリアの最有力インキュベーターが、「老舗」を通じてケニアに参入するかたちともいえ、ケニアのエコシステムに与える影響に注目が集まる。

(久保唯香、山村千晴)

(ケニア、ナイジェリア)

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