チリの首都サンティアゴに「東京式」スクランブル交差点

(チリ)

サンティアゴ発

2019年10月04日

チリの首都サンティアゴで9月27日、新設されたスクランブル交差点の完成式典が開催され、グロリア・フット運輸通信相がプロビデンシア区長らと共に参加した。今回、スクランブル化が行われたのは、サンティアゴの中心地に位置するプロビデンシア通りとリカルド・リオン通りとの交差点などの計4カ所で、運輸通信省とプロビデンシア区の試験的な試みとして導入されたもの。また、同省がウェブサイト上で公開したリリース文中では、これら交差点は「東京式」のものだと紹介されており、訪日外国人にとってメジャーな観光スポットとして知られる渋谷のスクランブル交差点などのイメージが、チリでも認知されていることがうかがえる。フット運輸通信相は、この「東京式」スクランブル交差点の、今後のチリでの導入可能性について、サンティアゴが所在する首都圏州内に27カ所、その他の州に16カ所の候補地が存在し、各自治体との調整次第で導入を検討する、と述べた。

写真 スクランブル交差点に表示される標識(ジェトロ撮影)

スクランブル交差点に表示される標識(ジェトロ撮影)

写真 プロビデンシア通りとリカルド・リオン通りのスクランブル交差点の様子(ジェトロ撮影)

プロビデンシア通りとリカルド・リオン通りのスクランブル交差点の様子(ジェトロ撮影)

自動車の排ガス減へ向けた国としての取組

本スクランブル交差点の完成式典は、チリで「自動車を利用しないナショナルデー(el Día Nacional Sin Auto)」として位置付けられる9月の最終金曜日に執り行われた。同ナショナルデーは、同日中の自動車の排ガス排出量の抑制を目的として始まったもので、自家用車の代替手段として徒歩、自転車、公共交通機関などの積極的な利用を、政府や自治体から国民へ働き掛けるキャンペーンが行われ、一部の通りを車両通行止めにする地域もある。本キャンペーンは、カーフリーデー(car free day)の名称で1990年代から、欧州の一部都市を中心に行われてきた社会イベントに端を発するが、チリが国レベルで本キャンペーンに取り組み始めたのは、2018年のことだ。自動車の排ガスを含む温室効果ガスの削減については、2019年12月にチリで開催される第25回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP25)でも、主要なテーマの1つとして取り扱われる予定だ。

(佐藤竣平)

(チリ)

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