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ブレグジットに伴う欧州自動車産業の関税負担は57億ユーロ

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年09月25日

英国最高裁判所が9月24日、英国議会を10月14日まで閉会(2019年9月10日記事参照)としたボリス・ジョンソン首相の決定を違法と判断したこと(2019年9月25日記事参照)について、英国のEU離脱(ブレグジット)問題を欧州議会で担当する対策グループの座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は「英国の法の支配は健在」「真の民主政治の下で議会は決して沈黙すべきではない」とツイッターに投稿。環境政党「欧州緑の党・欧州自由同盟(GREENS/EFA)」グループも、ブレグジットをめぐる今後の方針について説明をジョンソン政権に求めるため、直ちに英国議会を再開すべきとの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。最大会派の欧州人民党(EPP)グループ代表のマンフレート・ウェーバー議員(ドイツ選出)も、「議会は英国民全体を代表する場」と歓迎した。

他方、この前日、欧州自動車工業会(ACEA)や欧州自動車部品工業会(CLEPA)などを含む欧州の自動車関連23団体は英国の合意なきEU離脱(ノー・ディール)について、「壊滅的な結果をもたらす」として強く反対する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

効率的なサプライチェーン寸断に危機感

声明によると、ブレグジットに伴い、EU・英国間の乗用車・バン輸出に対してWTO協定関税率が課された場合、新たに57億ユーロの関税負担が生じるという。メーカー側でコストを吸収できない場合は、小売価格の引き上げもあり得るとしている。また、自動車関連産業が採用する「ジャスト・イン・タイム」モデルが新たに発生する関税や通関手続きにより分断されるとして、英国での自動車生産が1分間停止するだけでも、その損失は5万4,700ユーロに達するとの見通しを示した。

CLEPAによると、自動車1台を構成する部品は約3万点にも上り、その多くは複数回の越境取引が行われている。このため、通関手続きなどの障壁や関税がなく、規格・基準が明確な現在の貿易条件の維持は不可欠としている。また、CLEPAは、ブレグジットの結果、EUが日本や韓国、トルコ、カナダ、南アフリカ共和国など約30カ国・地域と結ぶ通商協定や特恵制度についても、英国は第三国の立場に置かれると指摘、英国原産の部品がEU原産の対象から外れる問題にも言及した。

EU加盟各国の自動車産業団体も今回の声明にコメントを寄せた。これらに共通する見方は「欧州の自動車産業は(英国を含めた)相互依存の上に成り立っている」「こうした効率的なサプライチェーンを寸断する事態(特にノー・ディール)は回避すべき」ということだ。こうした混乱に伴う欧州経済の低迷を危惧する声も聞かれる。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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