小売業の外資規制を緩和する法案、上院に提出

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月05日

フィリピンで小売業に対する外資規制を定める2000年制定の小売自由化法を改正する法案が8月、上院に提出された。

現行法は、外資系企業に対して払込資本金250万ドル以上、1店舗当たりの資本金83万ドル以上を求めているが、改正案は払込資本金を20万ドルに減額し、1店舗当たりの資本金規制を撤廃する。また、現行法は親会社の純資産を2億ドル以上、小売業で5年以上の実績を求めていたが、この規制も撤廃する。さらに、高級品やぜいたく品に特化した企業に求められていた1店舗当たり25万ドル以上の資本金規制も撤廃される。

改正案の立案者ウィン・ガチャリアン上院議員は地元メディアに対し、2000年の小売自由化法の施行以降、小売業分野でフィリピンに投資した外資系企業は22社しかなく、投資を活性化するために外資規制を修正すべきだと説明した。小売業者で構成するフィリピン小売協会(PRA)のローズマリー・オン会長は地元メディアに対して、協会としては払込資本金の規制が維持されることを望むが、外資系企業による新たな投資を望む政府の立場も理解できるとコメントした。

政府は2年に1度、外資規制リスト(ネガティブリスト)を更新することになっている。ドゥテルテ大統領は就任3年目の2018年11月に初めて同リストを更新したが、小売業に対する外資規制緩和は行わなかった(2018年11月1日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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