出稼ぎ労働者によるスタートアップを支援する法案が国会に提出

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月06日

海外在住のフィリピン人出稼ぎ労働者(OFW)によるフィリピン国内への投資を促進し、起業を支援するための「OFWビジネス・インセンティブ法(下院第1440号)」が、7月下旬に開会した今国会で審議されている。

同法案は、OFWがフィリピンで起業をする際の資金調達、トレーニング、市場マーケティング、情報収集といった面で政府が支援を行い、よりビジネスがしやすい環境・設備や、税制優遇制度を提供することを規定する。

税制優遇制度には、起業後2年間の全ての国税、地方税の免除が含まれ、OFWが起業した企業が先進的な技術や経営を行う場合は、免除期間がさらに6年間追加される。また、海外から設備を輸入し、当該設備の価格が500万ペソ(約1,000万円、1ペソ=約2.0円)未満である場合は、起業後2年間は輸入関税が免除される。また、同法案は地方自治体に対して、OFWが地方自治体に対して事業許可申請を行う際の専用窓口をつくること、他案件よりも迅速に処理することを求める。

同法案の作成者であるルイス・カンポス・ジュニア下院議員は地元メディアに対して、年々増加するOFWによるフィリピン国内への送金はフィリピン経済を支えており、これをより生産的かつ効果的な方法で活用し、国内の雇用促進にもつなげるためにも、同法案の早期成立が望まれるとコメントした。

2018年のOFWを含む在外フィリピン人からのフィリピン国内に対する送金額(銀行送金ベース)は過去最高の289億4,300万ドル(前年比4.3%増)に達し、2019年上半期(1~6月)の送金額は前年同期比3.2%増の146億3,800万ドルだった(2019年8月22日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

ビジネス短信 e332c3f7e1978a52