米アリゾナ州立大、ビジネス日本語クラス開講で日本語人材の就職支援強化

(米国)

ロサンゼルス発

2019年09月17日

全米有数の9万人以上の学生数を有するアリゾナ州立大学(ASU)は、2019年秋学期からビジネス日本語クラスを新規に開講した。従来の日本語修学クラスに比べ、日本の企業文化やビジネス慣習を学ぶことを意識した内容とし、日本企業への就職を後押しする。

ビジネス日本語クラスの目標は、ビジネスの場での日本語コミュニケーション力向上だ。日本のビジネストピックについて議論し、ビジネスで使用される語彙(ごい)や表現力を高め、日本企業に対する理解を深めることを目的とする。ビジネス向けEメールの書き方、名刺の渡し方、あいさつの仕方、メモの取り方なども教える予定だ。

ASU人文科学部日本文学・日本語科の講師で、日本語補習校「アリゾナ学園」の校長も務める平野久美子氏によると、「ASUで日本語を学んでいる学生は450人以上おり、外国語を専攻している学生数ではスペイン語に次ぐ人気だ。多くの学生はコンピュータやサイエンス、エンジニアリングなどの主専攻(メジャー)を持ちながら、日本語を副専攻(マイナー)として選択している。学生の日本語レベルは決して低くない。3年生で日本語能力テスト中級のN2やN3レベルをクリアする学生もたくさんおり、4年生ではさらに現代文、取扱説明書、小説、邦画、漫画など幅広い素材を利用して日本語を学んでいる」という。

日本語を学ぶ学生は、日本での就職や日系企業で日本語を使う環境を希望する例が多い。就職先は電気機器、アミューズメント、建築、スポーツ球団通訳などさまざまだが、多くの学生が人材派遣会社を頼って個別に就職活動をしている。平野講師は「日本企業への就職活動として何から始めればよいか分からないという声は多い。学生にとってはインターンシップの機会を得るとキャリアにもなり、その企業のことをよく知るきっかけになるので、ありがたいようだ」と話している。近年、卒業生が勤める日系企業が個別に業務説明会を開催する例も出てきた。大学では日本語クラスに加え、企業情報の提供などでも学生の就職支援に力を入れていく方針だ。

(北條隆)

(米国)

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