政府が知財戦略を発表、2030年までにASEAN主要国入りを目指す

(ベトナム)

ホーチミン発

2019年09月19日

ベトナム政府は8月22日、「2030年までのベトナム知的財産戦略」を定めた首相決定1068/QD-TTgを公布した。目標として、知的財産登録件数の増加(注1)を通じたグローバル・イノベーション・インデックス(GII)(注2)の向上のほか、ビジネスでの知的財産の活用推進、知的財産の活用で高い競争力を有する産業への発展と経済成長への寄与などが盛り込まれている。

ベトナムは、2019年のGIIでは世界42位で、ASEANの中では、シンガポール(8位)とマレーシア(35位)に続く3位だ。2030年までに、知的財産の創造や保護、利用の分野でASEANの主要国入りを目指すという。

政府はこの戦略に従い、研究成果を知的財産権で保護するため、研究機関や大学と企業間の協力のほか、創造されたアイデアを知的財産権で保護し、それらを活用するスタートアップなどへの支援を行う。同時に、知的財産関連法令の見直し、知的財産の侵害(特にデジタル環境)に対する取り締まりの強化、国内における知的財産の意識向上といった環境作りにも取り組み、外国からの投資や技術移転を促進する。

今後、今回の首相決定の付録「2025年までの期間に実施する作業および優先プロジェクト」に定められている8項目(注3)について、年に1度、科学技術省が首相に実施状況を報告し、2026年以降の優先項目と枠組みを特定する。

(注1)特許は年間16~18%の登録件数の増加、工業意匠は同6~8%、商標は同8~10%、植物品種は同12~14%を目指す。

(注2)世界知的所有権機関(WIPO)が毎年発表する、技術革新に関する80の指標に基づき129の国・地域をランク付けするもの。

(注3)知的財産法ほか関連法令などの修正(科学技術省、2021年まで)、著作権管理ソフトウエアのデータベースを構築し、デジタル環境およびインターネット上の違反を検出するスキーム(文化・スポーツ・観光省、2022年まで)、市場管理局の行政措置による知的財産侵害取り扱い能力の向上(商工省、2022年まで)など。

(小林亜紀)

(ベトナム)

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