スポーツ産業を経済の柱に、「スポーツ強国建設綱要」を発表

(中国)

広州発

2019年09月13日

中国国務院は9月2日、「スポーツ強国建設綱要に関する通知」(国弁発[2019]40号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、綱要)を発表した。スポーツ振興に向けて、2050年までの目標と具体的な任務・措置を示したもの。

綱要には、2020年と2035年、2050年時点の目標が掲げられている(表参照)。特に2035年は、国民のスポーツ参加比率や、運動スペースの面積、体力測定の合格比率など各種数値目標が示されている。

表 「スポーツ強国建設綱要」における目標

具体的な任務は、(1)国民の健康向上、(2)競技スポーツのレベルアップ、(3)スポーツ産業の発展、(4)スポーツ文化の発展、(5)海外や香港・マカオ・台湾との交流強化の大きく4項目に分かれている。

項目ごとに、サッカー場や氷上・雪上スポーツなどの施設の整備、社会に開かれた国家チームの選抜制度、モノのインターネット(IoT)・ビッグデータ・人工知能(AI)とスポーツの融合、中国武術の海外普及・オリンピック競技への採用などが盛り込まれている。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、競技成績のほかに精神・文化的な収穫を得るほか、2022年の北京冬季オリンピック・パラリンピックでは、冬季大会史上最高の成績を目指すとしている。

スポーツ産業はGDPの4%に拡大

2035年には「スポーツ産業を経済の柱の1つとする」と掲げた点について、国家スポーツ総局の李建民副局長は綱要発表時のプレスリリースで、「2014~2017年にスポーツ産業の付加価値額は年平均24.6%で成長しており、2035年にはGDPに占めるスポーツ産業の割合は4%に達する。将来的にスポーツ産業が経済において重要な地位を占める」と補足した。綱要では、スポーツクラブチェーンの育成や、大型スポーツイベントの実施に加え、ハイテクなスポーツ用品、ウェアラブルデバイス、スマートデバイスなどの供給拡大を支援する方針も示された。

1月には、「スポーツ消費のさらなる促進に関する行動計画(2019~2020)に関する通知」(体経字[2019]13号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発表されており、2020年までにスポーツ消費市場を1兆5,000億元(約22兆5,000億円、1元=約15円)に拡大するとの目標が掲げられている。

(河野円洋)

(中国)

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