ノー・ディール時の英国、日本との相互承認協定を一時的に維持

(英国、日本)

ロンドン発

2019年09月24日

英国政府は9月20日、通信機器や電気製品の規制などを相互承認する日EU相互承認協定に関し、EUを合意なしで離脱(ノー・ディール)する場合に備え、日英間での相互承認の一時的な措置に関する書簡を交換したと発表した。ノー・ディールでの離脱後も、運用面で既存の日EU相互承認協定を利用できる見通しだ。

日EU間の相互承認協定は2002年に発効し、「電気通信機器」「電気製品」「化学品GLP(優良試験所基準)」「医薬品GMP(適正製造規範)」の分野が対象になっている。今回の書簡は、2国間における適合性評価に関し、日EU相互承認協定の運用面の効力を維持するものだ。書簡の内容は、日EU相互承認協定が英国のEU離脱(ブレグジット)により英国での適用がされなくなった際、新たな日英国の相互承認協定が発効するまで、一時的に相互承認を有効とするもの。これにより、ノー・ディールでの離脱後も、引き続き、英国内の認証機関で、日本の基準への適合性評価を受けた英国製の製品は、日本での追加の検査などなしで日本で販売でき、逆に、日本の認証機関で英国基準への適合性を評価された日本製品も英国での追加検査なく販売することができる。正式な日英相互承認協定の交渉は進展しているものの、10月31日のEU離脱日の発効は間に合わない見通しだ。日本政府も9月20日、書簡に関する概要PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。

英国政府は1月から相互協定の継続に関する合意・署名について公表しており(2019年1月28日記事参照)、オーストラリア、ニュージーランド、米国とノー・ディール後の協定の継続に署名している。

英国政府は既存のEUと第三国の自由貿易協定(FTA)についても、ブレグジット後、英国と当該国とのFTAとして、継続する交渉を進めており、9月20日現在で14の国・地域と合意・署名済みだ。一方、2019年2月1日に発行した日EU経済連携協定(EPA)はノー・ディールの際、離脱日翌日から日英の自由貿易協定として継続されない見込み。

(鵜澤聡)

(英国、日本)

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