住宅・寄宿舎・ホテルのバルコニーでの喫煙を禁止

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年09月30日

世界的にみて喫煙率が高いロシアでは近年、政府による健康増進政策もあり、喫煙可能場所を制限する措置が相次いで導入されてきたが、さらに制限を拡大する措置が講じられる。住宅・寄宿舎・ホテルのバルコニー、ロッジア(開廊、注1)での火の使用を禁止する連邦政府決定が9月25日に公表された(2019年9月20日付連邦政府決定第1216号)。同連邦政府決定は、2012年4月25日付連邦政府決定第390号「防火体制」の内容を修正するもの。

今回の連邦政府決定には、「火(の使用)」とのみ記載されており、「喫煙」が該当するのか、具体的に明記されていないが、民間防衛・非常事態・自然災害復旧省(非常事態省)は、喫煙も対象とするとの見解を明らかにしている(「ノーボスチ通信」9月26日)。また、今回の連邦政府決定には発効日が記載されていないが、多くのマスメディアでは10月1日に施行される、と報じている。

ロシアでは喫煙に関するルールが近年、厳格化されている。2013年6月に教育・文化・体育・スポーツ施設、医療リハビリ施設、航空機、都市・近郊輸送機関、鉄道駅、バスターミナル、空港、港、地下鉄駅から15メートル以内の場所、国・地方自治体施設、オフィス・作業場、多層住宅内のエレベーター・共用部分、児童向けの場所などでの喫煙が、2014年6月にはレストラン、バー、長距離列車、近郊電車、プラットホーム、ホテルなどの中での喫煙が禁止された。

また、受動喫煙についても、配慮すべき状況に変わりつつあり、ロシア最高裁は2017年11月29日に、住宅バルコニーでの喫煙によって、隣人とその子供が健康被害を訴えた事案に対して、補償をすべきとの見解を発表している。

防火ルールに違反した場合、あるいは、喫煙が禁止されている場所で喫煙した場合には、行政罰が科される。現行の法律(1996年8月15日付連邦法第114-FZ号「ロシアへの出入国手続き」)では、外国人で3年以内に行政罰を2回以上受けた者は、最後に違反した日付から3年間、ロシアへの入国を許可しない可能性が記述されている条項(注2)が存在するため、ロシア駐在員やロシアへの渡航者は住宅やホテルのバルコニーで、うっかり喫煙し、行政罰で検挙されないよう気を付けたい。

(注1)1つの面以上が外に直接、開いている屋根付きの廊下のこと。

(注2)なお、行政違反を1年間に複数回繰り返した場合は、5年間、入国を許可しないと規定されている。

(齋藤寛)

(ロシア)

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