再生可能エネルギー分野への日本企業の参画と投資額の拡大

(チリ)

サンティアゴ発

2019年09月17日

9月7日付の「エル・ロンヒノ」紙で、チリ北部タラパカ州における初の太陽光発電プラントの操業開始が報じられた。出力規模は約7万世帯における消費電力に相当する103.2メガワットで、約350ヘクタールの敷地内で今後30年にわたって稼働することが見込まれている。本プラントの建設は、フランスの建設大手エファージュ(Eiffage)によって行われ、同社とのコンソーシアムを結成するかたちで日本の双日と四国電力が出資した。プラントの操業開始に際して催された式典には両日本企業の代表者のほか、エネルギー相のフアン・カルロス・ジョベト氏、タラパカ州知事のミゲル・アンヘル・ケサーダ氏らと共に、在チリ日本大使館から平石好伸大使も出席した。

国策達成へ向けた対内投資の拡大

チリでは国の政策として、2040年までに国内の石炭火力発電所を全面的に閉鎖し、2050年までに国内総発電量の70%以上を再生可能エネルギーで賄うことを掲げている。ケサーダ州知事の発言によれば、現在、タラパカ州では州全体の65%の電力がクリーンエネルギーにより賄われており、12月までに州内の石炭火力発電所の稼働を全て停止させる見込みであることから、タラパカ州が国策の達成へ向けた先進的な取り組みを行っていることがうかがわれる。また、今回の太陽光発電プラントの操業開始を受け、対内投資促進庁(InvestChile)のクリスティアン・ロドリゲス局長は、本プロジェクトはチリ国内の再生可能エネルギー分野への、外国企業による投資の重要性を示す傑出した例の1つだと発言し、1~6月におけるチリの再生可能エネルギー関連の直接投資受入額は60億ドル以上に上っていると述べた。この数値は、国連ラテンアメリカ・カリブ経済員会(ECLAC)が8月14日に発表した2018年の1年間におけるチリの直接投資受入額60億8,200万ドル(2019年8月29日記事参照)に匹敵しており、チリ政府の政策に沿うかたちで、外資による再生可能エネルギー分野への積極的な投資が行われている。

(佐藤竣平)

(チリ)

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