公務員の定年を引き下げる法案が提出
(フィリピン)
マニラ発
2019年09月17日
公務員の定年を60歳から55歳に引き下げる法案が、フィリピンの今国会において審議されている。法案を作成したウィン・ガチャリアン上院議員は法案提出の目的について、失業率が比較的高い若年層が職に就く機会を増やし、若者の失業問題の解決につなげるためとしている。また、経済的に余裕のある公務員の退職者による消費の活性化や、退職者のノウハウを生かした新しいビジネスの創出が期待されると、地元メディアに対して説明した。
フィリピンの公務員は現在、1997年に成立した公務員保険機構(GSIS)法に基づいて制定された公的年金制度に従って、60歳から年金の給付が開始されるが、今回の法案は年金の給付開始年齢も60歳から55歳に引き下げる内容となっている。
現在、フィリピンの公務員は60歳を過ぎても希望すれば65歳まで働き続けることが可能だが、当該年齢も65歳から60歳に引き下げられる。法案が成立した場合、64~65歳の公務員は法案成立の初年度、62~63歳の公務員は2年目、61歳の公務員は3年目に退職すると規定されている。
なお、公務員の定年引き下げを求める法案は、前回の国会でも提出されていたが、年金支給総額が増加して財源が不足する恐れがあることを理由にGSISが反対し、法案は成立しなかった経緯がある。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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