デジタル貿易プラットフォーム開発を閣議決定、抜本的な貿易実務簡素化へ前進

(タイ)

バンコク発

2019年09月25日

タイ政府は9月10日、タイ国家デジタル貿易プラットフォーム(NDTP)を開発することを閣議決定した。デジタル技術を用いた貿易実務の抜本的な簡素化を目指すもので、タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)(注)がメンバーであるタイ銀行協会(TBA)を中心に、内容を検討していた。

税関システムなどとの一貫性を維持

NDTPはブロックチェーンなどのデジタル技術を用い、貿易実務で発生するさまざまな貿易書類手続きの抜本的な簡素化を追求する。

閣議決定(タイ語原文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によって、これまで民間主導で進んできたNDTP開発における政府機関の関わりが明確化された。具体的には、管轄省庁として、公共セクター開発委員会(OPDC)と戦略転換事務局(STO)、デジタル政府開発公社(DGA)の3機関を任命し、関与すべき他の機関として、デジタル経済社会省(MDES)と電子取引開発公社(ETDA)、JSCCIBを指定した。

開発に当たっては、DGAが管轄する中央デジタルプラットフォームや、タイ関税局が管轄するナショナルシングルウインドー(NSW)など、開発済み、あるいは開発中の政府関連システムとの整合性を図ることも明記している。

タイ税関、IBMの開発するトレードレンズに参画

ブロックチェーンを用いた貿易円滑化措置は、大手船会社マースクとIBMが連携したトレードレンズや欧州の主要金融機関連合によるウィー・トレード、香港貿易金融プラットフォーム、NTTデータが事務局を務める「ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤実現に向けたコンソーシアム」など、さまざまな陣営が競って開発を進めている分野だ。タイ税関は8月28日、それらの中からトレードレンズとの連携を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、NDTP開発との整合性の確保が注目される。

(注)タイ工業連盟(FTI)、タイ貿易院(BOT)、タイ銀行協会(TBA)で構成される産業横断的な組織。

(蒲田亮平)

(タイ)

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