ドゥテルテ大統領、総収入ベースの法人税算出方法への移行方針を表明
(フィリピン)
マニラ発
2019年09月19日
フィリピンのドゥテルテ大統領は9月12日、総収入から許容される控除を差し引いた後の課税所得に対して課税されている現在の法人税について、控除額を考慮せずに控除前の総収入をベースに法人税を算出する方法に移行する方針を表明した。
ドゥテルテ大統領は移行の理由について、控除額を考慮しない控除前の総収入をベースにすることで内国歳入庁(BIR)をはじめとした徴税当局の裁量権を減らし、徴税額をめぐる企業との交渉の余地をなくすためとした上で、「移行によって汚職が70%減る」と説明した。
財務省(DOF)のカルロス・ドミンゲス長官は、ドゥテルテ大統領の方針を実現するため、法務省(DOJ)と開発予算調整委員会(DBCC)からなる調査グループを組織するとした。DBCCは、財務省、予算管理省(DBM)、国家経済開発庁(NEDA)で構成されている。
議会や会計業界からは否定的な見解
ジョーイ・サルセダ下院歳入委員長は地元メディアに対して、総収入ベースで法人税を算出する方法への移行は実務の簡素化にはつながるが、業種や売上高総利益率の高低によって企業間に不公平感が生じることになると懸念を示した。
また、PwCフィリピンのアレクサンダー・キャブレラ会長は、総収入ベースへの移行によって、より多くの企業が控除額の考慮が必要がないために、従業員の給与を申告しなくなる恐れがあるとした上で、「収益を生んでいない企業まで税金を支払う必要が生じ、特にスタートアップ企業など起業直後の企業にとって、ビジネス環境が悪化することになる」とコメントした。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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