第2四半期のGDP成長率は前年同期比1.0%

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年09月10日

ブラジル地理統計院(IBGE)は8月29日、2019年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を発表した(表参照)。前年同期比では1.0%、前期比(季節調整済み)では0.4%成長した。

産業別に前年同期比の成長率をみると、農畜産業は、綿花(32.5%)やトウモロコシ(21.4%)の年間生産量増加などが牽引して0.4%成長した。鉱業は、鉄鉱石大手バーレの鉱滓(こうさい)ダム決壊の影響が依然として継続し、9.4%のマイナスとなった。それ以外は、第1四半期(1~3月)に引き続き、水力発電が安定的だったことを受け、電気・ガス・上下水道・都市清掃が2.4%の伸びを示したのに加えて、建設業は2.0%と20四半期ぶりのプラス成長となった。製造業は、金属製品や機械・備品、化学品、冶金(やきん)、飲料が好調で1.6%成長した。サービス業では、情報サービス(3.0%)、不動産(賃貸業を含む、2.7%)、商業(2.1%)が堅調な伸びを示した。

表 四半期別と通年の実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

需要要素別に前年同期比の伸びをみると、GDPの約6割を占める個人消費支出が1.6%成長し景気の牽引役となった。IBGEは、個人向け貸付残高や給与所得の増加が影響したことが要因だと分析しており、個人消費は9期連続のプラスを維持した。

総固定資本形成(投資)は5.2%と大きく成長した。IBGEは、総固定資本形成の5割を占める建設が好調だったことが要因だとしている。財・サービスの輸出(1.8%)は石油・天然ガス、食料品、石油由来製品、化学品、冶金、セルロースの輸出増加よるもので、財・サービスの輸入(4.7%)は、機械・備品、金属製品、機械装置・電気関連の部材、石油・天然ガス、石油由来製品の輸入増加によるものだった。

8月30日付の現地紙「バロール」は、世界経済の減速とアルゼンチンの景気低迷が懸念材料である一方、ブラジル国内では年金改革のほか、8月1日から6%に低下した政策金利(7月末まで6.5%)や、勤続年数補償基金(FGTS)積立金の事前引き出し許可に関する措置などの用意があることから、個人消費が喚起されると見込み、2019年のGDP成長率は、1%を下回ると予測されていたものの、これにより前年度とほぼ同じ1%になるとの見方が出てきたと述べている。

(古木勇生)

(ブラジル)

ビジネス短信 97ee68b2265eb3ab