アフリカ豚コレラの影響、チリから中国への豚肉輸出増加

(チリ、中国)

サンティアゴ発

2019年09月20日

チリ税関によれば、2019年上半期(1~6月)におけるチリから中国への豚肉の輸出額が8,190万ドルに上り、前年同期比で約7割増加した。米中貿易摩擦などの要因により、2019年上半期におけるチリから中国への輸出総額(FOBベース)が前年同期比で11.6%減となる(2019年9月2日記事参照)中、豚肉は大きな伸びをみせている。チリ食肉輸出業者協会のフアン・カルロス・ドミンゲス会長は、アフリカ豚コレラの発生により、中国国内の豚肉生産量が減少する中、チリ産の豚肉が、中国の輸入業者が課す厳しい要求水準を満たす安全性を兼ね備えていたという点が輸出額増加の要因となった、と分析している(「エル・メルクリオ」紙9月10日)。中国国内でアフリカ豚コレラの発生が確認されたのは、同国が米国からの対中制裁関税への報復措置として、豚肉を含む米国原産の輸入品に25%の追加関税の賦課を行った約1カ月後のことだった。中国は国内の豚肉生産量の減少を補うため、自らが追加関税を課した米国や、チリを含む諸外国からの輸入量を増やさざるを得ないというジレンマに陥っており、現在も国内の豚肉価格の高騰が続いている(2019年6月28日記事参照)。

拡大する輸出へのチリの対応

チリ食肉輸出業者協会のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上に掲載されているレポートによれば、2018年にチリでは約31万トンの豚肉が消費されたが、そのうち約4割は輸入で賄われている。中国への豚肉輸出が大きく増加する一方で、ドミンゲス会長はチリ国内には豚肉の十分な生産体制が整っていないため、これ以上の需要の拡大に対応するのは困難で、豚肉の生産拡大に向けた土地の整備が急務だ、と指摘した。

(佐藤竣平)

(チリ、中国)

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