ニュージーランド産ワカメ、日本向け商業輸出の調査に政府支援

(ニュージーランド)

オークランド発

2019年09月05日

ニュージーランドのダミエン・オコナー農業相は8月30日、2018年に政府が出資設立した「持続可能な食品および繊維の先物ファンド(SFF)」の初めての採択案件として、ワカメフレッシュ社(北島コロマンデル地方)による商業目的のニュージーランド産ワカメ輸出可能性調査(Whakatiputipuプロジェクト)に助成したことを発表した。本プロジェクトに対する助成額は、7万5,200ニュージーランド・ドル(約503万8,400円、NZドル、1NZドル=約67円)になる。

ニュージーランドにおいて、ワカメは一般的に食用としてのなじみがない。同国産ワカメは、日本漁船の船底などにその配偶子が付着して運ばれてきた外来種なだけに、同国のバイオセキュリティー法上、望ましくない生物として分類されてきた。オコナー農業相は「好まれていなかった外来海藻が貴重な食品輸出商材にかわる」と期待を寄せる。

同社では、既に国内消費用にワカメを収穫し、オーストラリア向けに輸出実績がある。今回のプロジェクトは、日本市場を視野に入れた収穫と加工が対象となっており、最終的にはワカメの日本向け商業輸出を目指している。本プロジェクトの期間は、2019年5月から同年下期までを予定している。

本プロジェクトに協力している、海産物卸売業のカタオカ(広島県尾道市)の片岡彰一郎社長は「ニュージーランドの自然豊かな海で育まれたワカメが商業ベースに乗れば、非常に期待が持てる」と話す。

同プロジェクトを受け、将来的には、ニュージーランド国内での良質なワカメの安定的収穫、およびその栄養成分や薬効の研究にも広げていく予定だ。ただし、ニュージーランドではワカメの養殖は認められていないため、既存の生態を生かした収穫を目指すことになる。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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