米FDA、電子たばこ大手ジュール・ラブズに警告

(米国)

サンフランシスコ発

2019年09月24日

米国食品医薬品局(FDA)は9月9日、大手電子たばこ企業のジュール・ラブズ(JUUL Labs、本社:サンフランシスコ市)に警告文書(注)を送付した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これは、ジュールがFDAの許可なしに、同社製品をリスク低減たばこ製品として販売しているとし、ジュールに対して15営業日以内に是正措置を文書で提出するよう求めるもの。また、FDAは、ジュールが同社製品はたばこに起因する病気になるリスクが低いなどと、明確に、あるいは暗に示して宣伝していると批判。警告文書のもとになった証言によると、ジュールはある学校でイベントを開催し、生徒に対して同社製品は「たばこよりもかなり安全」「FDAも(ジュール製品は)たばこより99%安全だと発表しようとしている」「(ニコチン依存症の)友人にジュール製品を勧めるべき」などと話したという。

サンフランシスコ市では6月28日、市内での電子たばこ販売を一時的に停止する条例が制定された(2019年7月3日記事参照)。サンフランシスコ湾東側、イーストベイに位置するリッチモンド市でも9月10日、FDAの認可が下りていない電子たばこの販売を禁止する条例案が成立した。他方、イーストベイのリバモア市では、7月に同様の条例案が可決されたが、ジュールが同市議会の決定を覆すのに十分な署名を集めたため、同市議会は条例化の可否を2020年3月の住民投票にかけることを決めた。

連邦レベルでも、電子たばこ販売停止に向けた動きがみられる。全米で6件の死亡を含む450件を超える、電子たばこの吸引が関連する肺疾患の症例の捜査を受け、トランプ大統領は9月11日、ホワイトハウスで保険福祉省長官、FDA長官代行と会談し、「若者を病気に侵させてはならない」と述べた(「ワシントン・ポスト」紙電子版9月11日)。保険福祉省長官によれば、FDAはフレーバー付き電子たばこに関する規制案を数週間以内にまとめる予定で、メンソールなどを含む大半のフレーバー付き電子たばこは、FDAから特定の認可を受けるまで販売が停止されることになる。

(注)FDAが発行する警告文書は、製品情報の表示に問題があったり、誤った使用法を示している場合など、製造業者が著しくFDAの規制に反している際に通知するもの。警告文書には、製造業者が問題を是正しなければいけないことが明記され、業者がFDAに是正案を提示するまでの期限が提示される。

(田中三保子)

(米国)

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