サンフランシスコ市、米国初の電子たばこ販売停止へ

(米国)

サンフランシスコ発

2019年07月03日

サンフランシスコ市議会は6月25日、同市内での電子たばこ販売を一時的に停止する条例案を可決した。ロンドン・ブリード市長の承認を得て、正式に条例化される。

この条例案は、米国食品医薬品局(FDA)による電子たばこの安全性確認が行われるまで、同市内の実店舗での電子たばこの販売と、オンラインなどで購入した電子たばこの同市内住所への配達を禁止する。背景には、電子たばこが未成年のニコチン製品使用を後押ししているとの見方がある。保健福祉省疾病対策センターの報告によれば、若者による従来のたばこ喫煙率は過去20年間減少し続ける一方、電子たばこは2014年以来、米国の中高生の間で最も多く消費されるニコチン製品となっている。2017~2018年の間、電子たばこの喫煙率は、高校生で1.8倍に増加(高校生喫煙者に占める割合11.7%から20.8%)、中学生で1.5倍に増加(中学生喫煙者に占める割合3.3%から4.9%)した。電子たばこの使用により、若者の間で従来のたばこ使用の危険が高まる、ともいわれている。

今回の条例では、永久的な停止にならない可能性もあるが、電子たばこ販売を停止するのはサンフランシスコが米国で初めて。電子たばこは、従来のたばこに比べれば有害物質の含有量が低いが、FDAは禁煙補助製品として認めていない。同市は2018年に、メンソールを含むフレーバーたばこの販売も既に禁止している。

サンフランシスコ市内に本社を構えるジュール・ラブズ(JUUL Labs)は、米国電子たばこ市場の8割のシェアを占める。同社は2017年の設立後、従来のたばこから電子たばこへ移行することを推奨するマーケティングで成功し、サンスランシスコ市内で1,200人の従業員を抱える規模に成長した。地元報道によれば、ジュール・ラブズは現在、同法案を覆す条例案を11月の住民投票事項に取り上げるため、支持者の署名を集めている。

現在、サンフランシスコ・ベイエリアの2都市(リッチモンド、リバモア)でも、サンフランシスコに続いて同様の動きがある。

(田中三保子)

(米国)

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