米カーギルがカカオ加工工場を拡張

(コートジボワール)

アビジャン発

2019年09月24日

米国系穀物メジャーのカーギルの子会社MICAOは今後2年間で、コートジボワール・アビジャン市内のヨプゴン工業団地にあるカカオ加工工場の生産ラインを拡張する。現地メディアのウォロバ.netが8月30日に報じた。

カーギルは1997年にコートジボワールへ進出し、カカオ豆の取引量は同国最大。同工場の拡張は2段階に分けて進められ、現在11万トンの生産能力を2021年までに17万トンに強化する予定だ。総工費は720億CFAフラン(約129億6,000万円、1CFAフラン=約0.18円)の見込み。同工場を視察したスレイマン・ディアラスバ商業・産業・中小企業振興相は「世界最大級の生産規模となる(MICAOの)カカオ加工工場の拡張は、コートジボワールの重点施策である農産品の現地加工率向上と雇用創出に寄与する」と称賛した。2019年3月には、スイス系バリー・カレボーの子会社SACOが、生産能力4万トンの生産ラインを新設していた(2019年4月23日記事参照)。

コートジボワールは、世界最大のカカオ豆生産国だ。過去3年間の生産量は200万トン超で推移し、世界の総生産量の約4割を占める。また、2018年の磨砕量は74万6,000トンで、同じく世界1位の規模だ。一方、現地加工率はいまだ3割と低い。政府は、2020年までに加工率を5割以上に引き上げる目標を掲げ、加工事業者に対し税制などの優遇措置を施している。世界カカオ産業が1,000億ドル以上の規模があるにもかかわらず、コートジボワールの農家所得は60億ドル程度にとどまる。国際市況の変動に左右されない所得増・安定化が求められている。

2019年8月に発表された国際カカオ機関(ICCO)の見通しによると、2018/2019年度(2018年10月~2019年9月)の世界のカカオ豆生産は484万9,000トン(前年度比4.3%増)、磨砕量は478万3,000トン(4.1%増)、供給余剰は1万8,000トンが見込まれる。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

ビジネス短信 8467a7ff024a7a28