スイス系企業、カカオ豆の加工工場を拡張

(コートジボワール)

アビジャン発

2019年04月23日

バリー・カレボー(スイス)の子会社SACOは3月29日、コートジボワール南部のアビジャンにある同社のカカオ加工工場に、生産能力4万トン規模の生産ラインを新設したことを発表した。総工費は30億CFAフラン(約5億7,000万円、1CFAフラン=約0.19円)。同社は1964年にコートジボワールに初めて進出した。今回の工場拡張により、総加工規模は21万5,000トン(うち、アビジャンは9万トン)となる。

カカオ加工工場は、アビジャンとサンペドロ(南西部の港湾都市)に集積している。主な大手外資企業の同地域での加工規模は、オラム(シンガポール、15万トン)、カーギル(米国、12万トン)、セモア(フランス、7万1,000トン)と続く。外資企業によるカカオ豆の磨砕量は、地場企業を含めた全体(約60万トン)の9割超を占める。

また、国際カカオ機関(ICCO)によると、2018/2019年度の世界のカカオ生産は480万トン(前年度比15万トン増)、磨砕量は471万トン(前年度比12万トン増)が見込まれる。うち、天候が良好だったコートジボワールは、215万トン(前年度比15万トン増)の生産が見込まれる。供給過剰となり、国際価格は低調の見通しだ。

コートジボワールはカカオ豆の生産量世界1位で、世界の総生産量の約45%を占める。また、磨砕量も2016年にオランダを抜き、世界1位の規模だ。一方、現地加工率は現在35%と低く、政府は生産者の収入増と新たな雇用創出による貧困削減のため、2020年までに50%に引き上げる目標を立てている。

(尾山裕緒)

(コートジボワール)

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