第2四半期のGDP成長率はマイナス1.5%

(トルコ)

イスタンブール発

2019年09月12日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(9月2日)によると、2019年第2四半期(4~5月)の実質GDP成長率は、市場の予測(マイナス2%)を上回る前年同期比マイナス1.5%で、3期連続のマイナス成長となった。他方、季節調整済み系列では前期比1.2%増と、2期連続のプラスとなっており、景気低迷は一息ついたとみる向きもある。

消費の冷え込みに改善の兆し

第2四半期の成長率は、通貨安やインフレの高騰の影響がなお色濃くみられ、民間消費と投資のマイナスが続いている。しかし、季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では、前年の第3四半期と第4四半期の2期連続のマイナス成長から、2019年は第1四半期1.6%、第2四半期1.2%とプラス成長を記録していることから、景気低迷は一息ついたとの見方もある。

支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出は前年同期比で1.1%減で、2018年第4四半期の7.7%減、2019年第1四半期の4.8%減から改善傾向がみられる(表1参照)。特に耐久消費財、半耐久消費財がそれぞれ7.4%減、5.2%減となり、第1四半期の2桁減から大きく改善している。

民間投資を含む総固定資本形成は、22.8%減と過去4四半期で最大の落ち込みになった。特に、これまで経済を牽引していた建設が29.2%減、機械・設備も16.5%減と低迷度を増している。輸出は8.1%増と減速しつつもなお好調で、通貨安の影響で輸入が16.9%減と落ち込みが続いていることから、外需(ネット輸出)はプラスに寄与している。

表1 2019年第2四半期の支出項目別実質GDP(2009年連鎖価格)

生産部門別にみると、上記のように建設の落ち込みが大きい(表2参照)。他方、前期に引き続き金融・保険業と農林水産業が伸びており、特に農林水産業は3.4%増と好調だった。また、製造業も前期の4.2%減から3.3%減となり、改善の兆しがみられる。

表2  2019年第2四半期の部門別実質GDP(2009年連鎖価格)

また、8月のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は、前年同月比15.01%で、7月の16.65%から鈍化し、2018年5月以来の低い伸びとなった。金融政策面で、大統領による「低金利が経済を活性化させ、消費の拡大がインフレ抑制にもつながる」という独特のセオリーが勝利を収め始めている格好だが、国際市場は、楽観視するには早過ぎると、なお懐疑的だ。トルコ経済界は、2019年のGDPは政府目標の2.3%には及ばないものの、0.5~1.5%のプラス成長になると期待している。

(中島敏博)

(トルコ)

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