エネルギー相、再生エネ発電の入札第4弾を今後実施と公表

(メキシコ)

メキシコ発

2019年09月24日

メキシコのノルマ・ロシオ・ナレ・ガルシア・エネルギー相は9月18日、メキシコ市で開催された環境エネルギー関連イベントに出席し、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権発足後の2019年1月に中止したとされていた再生可能エネルギー発電事業の長期契約入札の第4弾について、中止ではなく延期であり、今後実施されると発表した(注)。入札は国家エネルギー管理センター(CENACE)を通じて行われる。メキシコはエンリケ・ペニャ・ニエト政権時の2015年12月にエネルギー転換法(Ley de Transición Energética)を公布し、国内発電における再生可能エネルギーの割合を段階的に引き上げ、2024年には35%とすることを同法に明記している。

エネルギー相によると、過去3回の入札によって主に風力と太陽光発電で約1万メガワットが供給される予定で、現在のところ、第1回入札分の76%、第2回分の73%が供給を開始しているとのことだ。第3回分の供給実績はまだない。また、エネルギー相は、メキシコの送電事業は連邦電力庁(CFE)が独占的に行っており、2017~2018年の送電網は総延長10万8,000キロで、年間の伸長率が0.1%に満たないことも指摘した。

政府内では原油鉱区開発入札の再開を懇願する声も

メキシコはペニャ・ニエト前政権下でエネルギー改革を実施し、2015年から民間企業が炭化水素資源鉱区の開発を行う「ラウンド」の入札が行われていたが、AMLO大統領は公約により、未実施のラウンドスリー・フェーズ2と3の新規入札を3年間凍結する方針を取った。これを踏まえ、国家炭化水素委員会(CNH)は2018年12月に同フェーズの入札を実施しないことを公表した。しかし、政府内では鉱区開発の推進派がロビー活動を行っているもようだ。アベル・ヒルバート大統領府経済アナリスト兼イノベーションコーディネーターによると、メキシコ石油公社(PEMEX)による独自の鉱区開発には限界があり、石油増産には民間投資が不可欠だと分析する政府のあるグループがAMLO大統領に中止撤回を強く申し入れているという(「レフォルマ」紙9月17日)。

(注)2019年1月に中止が発表されたバハカリフォルニア州とメキシコ本土をつなぐ送電線と、オアハカ州とモレロス州をつなぐ送電線の両敷設事業についての言及はなかった。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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