2019年上半期の投資認可額は前年比65%増、米国が首位

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年09月12日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は8月16日、2019年上半期(1~6月)における製造業の外国投資認可額を、前年同期比64.8%増の251億1,490万リンギ(約6,530億円、1リンギ=約26円)と発表した。うち、新規案件は33.2%の83億3,060万リンギだった。業種別では電気・電子製品、国・地域別では米国が首位だった(表1、2参照)。

電気・電子製品が首位に

業種別にみると、全体の6割を超える電気・電子製品が前年同期の不振から一転、42倍の160億3,800万リンギとなった。次いで、紙・印刷・出版が46億6,280万リンギ(構成比:18.6%)、輸送機器が8億2,290万リンギ(3.3%)と続いた。

表1 製造業の業種別外国投資認可額(上位5位)

国・地域別では、米国が前年同期比38倍の116億8,780万リンギ(案件数は19件)で、中国を抜いて首位となった。米国からは、半導体や集積回路の生産拡張に関する大型投資が目立った。ダレル・レイキン国際貿易産業相は、米国からの主な投資案件として、産業用電力変換製品を製造するアドバンスド・エナジー・インダストリーズによる新規投資案件、半導体デバイス製造のオン・セミコンダクターや電子機器受託製造サービス(EMS)のプレクサスの拡張投資案件などを例に挙げた。

次いで、中国が前年同期比3割弱減少して47億8,660万リンギ(30件)、シンガポールが31億5,830万リンギ(43件)、日本が21億3,110万リンギ(12件)、英国領バージン諸島が13億8,270万リンギ(2件)で、上位5カ国で全体の92.2%を占めた。

表2 製造業の国・地域別投資認可額(上位5位)

日本からの製造業投資認可額は、前年同期比36.7%増加した。業種別では、全体の6割強を占める紙・印刷・出版が13億7,570万リンギ(案件数は2件)、電気・電子製品が6億6,380万リンギ(4件)、輸送機器が7,150万リンギ(2件)と続いた(表3参照)。

表3 2019年上半期の日本からの製造業の業種別投資認可額(上位5位)

米中貿易摩擦の影響で、米国からの投資が急増

米中貿易摩擦の長期化を背景に、米国企業や中国企業のマレーシア投資がみられるようになってきた。バークレイズの地域エコノミストによると、マレーシアは、製造業の裾野が広く、シンガポールのように人件費が高いわけではないという点から、「米国にとってちょうど良い投資先だ」との見方を示す(「マレーメール」8月8日)。しかし、米中貿易摩擦の長期化により、米中両国の需要が減る場合には、マレーシア経済にも負の影響があり、引き続き懸念される。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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