全米自動車労組がGM工場でストライキ突入、2007年以来12年ぶり

(米国)

ニューヨーク発

2019年09月17日

全米自動車労働組合(UAW)は9月15日、米国内9州にあるゼネラルモーターズ(GM)の31拠点などでストライキに突入した。UAWに加盟するGMの従業員は約4万8,000人。UAWによるストライキは2007年以来12年ぶりとなる(注)。

UAWと米系自動車メーカー3社〔GM、フォード、フィアット・クライスラー(FCA)〕間の労働協約は4年に1度改定されており、2019年は改定年に当たる。7月16日からGMを皮切りに交渉が開始されたものの、協約満了の9月14日時点で同社との交渉はまとまらず、合意に至っていない。交渉中の従業員との契約に関しては、3社とも前協約を延長して対応することで労使は合意した。

ストライキを決行するに当たり、UAWは正当な給与と福利厚生の支給や雇用の確保に加え、臨時雇用者の待遇改善などを要求している(UAW外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。UAWのテリー・ディッテス副委員長はストライキを交渉の「最終手段だ」(オートモーティブニュース9月15日)とし、「組合員とその家族、地域のために立ち上がる」と述べた。UAWはGMが2018年11月に事実上の生産停止を発表した国内3工場(ミシガン州ウォーレン、オハイオ州ローズタウン、メリーランド州ボルチモア)の再開を求めていた(2018年11月28日記事参照)。

GMのダン・フローレス広報担当マネジャーは交渉に際して、「われわれのゴールは従業員と事業の力強い将来だ」と強調(デトロイト・ニュース9月16日)し、5,400人の雇用と、国内8工場への70億ドルの投資、電動トラックの生産を予定していることなどを提示した。給与、福利厚生の面では8,000ドルの協定締結一時金と、前協約と同条件での健康保険の支給、また報道によると、年2回の賃上げと一時金の引き上げを提案している。

GMの提案に対し、ディッテス副委員長は「交渉の早い段階でこのような提案を受けていれば、一時的な合意の下、ストライキを避ける可能性はあった」と述べた(「ワシントン・ポスト」紙9月17日)。

(注)2007年のストライキは2日間で終結した(ロイター9月14日)。

(大原典子)

(米国)

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