ロボットメーカーの南京埃斯頓自動化、ドイツ同業のCLOOSを買収

(中国)

上海発

2019年09月02日

中国江蘇省南京市に本社を置く南京埃斯頓自動化(ESTUN、以下、埃斯頓)は8月26日、子会社の南京鼎派機電科技が1億9,607万ユーロで、ドイツの溶接ロボットメーカーCLOOSの株式100%を取得すると発表した。埃斯頓は買収資金を確保するため、親会社の南京派雷斯特科技と共同で子会社への増資を行う。

CLOOSは1919年に設立され、世界で最も早く溶接ロボット技術を開発した産業ロボットメーカーだ。ドイツ・ヘッセン州ハイガー市に本社を置き、中国をはじめ世界各地で11の子会社、50カ所の販売店を持つ。2018年度の売上高は1億4,400万ユーロ、純利益は1,244万ユーロとなっている。

埃斯頓は1993年に設立され、深セン証券取引所に上場する中国有数のロボットメーカーだが、ロボット先進国の日本やドイツなどのメーカーに比べ、減速機やサーボモーターなどコア部品の技術面で出遅れている。同社は技術の向上やノウハウの獲得を図るべく、2017年に英国の制御装置メーカーのトリオ・モーション・テクノロジー(2017年2月28日記事参照)、米国の小型サーボモーターメーカーのバレット・テクノロジー、ドイツの生産設備メーカーのM.A.iを相次いで買収した。その後、埃斯頓の産業ロボット関連の売上高伸び率は2017年に前年の2.3倍、2018年に50.3%増と急速に拡大し、それぞれ業界全体の伸び率(68.1%増、4.6%増)を上回った。

自動車向けの需要減などで初の販売減

世界最大の産業用ロボット市場である中国だが、2018年以降の販売台数は国内の景気低迷の影響を受けて伸び悩んでいる。中国機器人産業聯盟(CRIA)の発表によると、2018年の中国産業用ロボットの販売台数は前年比3.8%減の13万5,000台だった。自動車業界向けのロボット販売台数が25.4%減の約3万2,000台と大幅減となったほか、電気・電子設備向けロボットも8.4%減の4万5,000台と減少している。

企業別の内訳をみると、外資系メーカーは11.0%減の9万2,000台と、前年に比べ1割以上減少したが、依然として全体の約3分の2を占めている。一方、中国系メーカーは16.2%増の4万3,600台となり、順調にシェアを拡大している。

(劉元森)

(中国)

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