ムガベ前大統領の国葬挙行、現政権は経済再建に苦慮

(ジンバブエ)

ヨハネスブルク発

2019年09月30日

ジンバブエのロバート・ムガベ前大統領の国葬が9月14日、首都ハラレで執り行われた。ムガベ氏は9月6日、療養先のシンガポールで95歳で死去した。1980年の独立後、37年にわたり政権を握った同氏は、2017年11月に国軍の反発を契機に大統領職を辞任し、現大統領のエマーソン・ムナンガグワ氏にその職を譲った(2017年11月24日記事参照)。

独立・建国の父であるムガベ氏は国葬で「国民的英雄」と称され、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領をはじめアフリカ各国の要人が出席した。しかし、ムガベ氏は政権後半に独裁色を強め、欧米社会から経済制裁を受けるなどして、国家を破綻に追い込んだことから、国民の不満は今なお根強く、最大6万人収容の会場には空席も目立ったとの報道もある(BBC9月14日)。

疲弊した経済の再生は道半ば

政権を引き継いだムナンガグワ大統領は、疲弊した経済の再生を2017年11月の就任直後に約束したものの、いまだその道筋ははっきりと見えない状況だ。大統領は9月4日、外国投資家の信頼回復、投資誘致に向けた「国家投資政策(NIP)」を推進していくと発表した。8月28~30日に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)では、外国投資家の保護、利益の海外送金の保証、政策の一貫性と透明性の確保を約束すると表明した。しかし、実際には深刻な外貨不足のため金融の流動性が低く、資金調達が難しいため、国内外の企業を問わず同国でのビジネスは困難な状況だ。

IMFは4月、2019年のジンバブエのGDP成長率をマイナス5.2%と予測した。同国政府は8月に同年の成長率をマイナス2.1%とし、IMF発表よりやや楽観的な見方を示したが、3月にジンバブエとモザンビークに大きな被害をもたらしたサイクロン・イダイの影響もあり、2019年前半のインフレ率は平均12.4%と、2018年後半の6.4%から大きく上昇した。

(高橋史)

(ジンバブエ)

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