経済相、減税や支援策を基軸とする中小企業戦略を発表

(ドイツ)

ベルリン発

2019年09月10日

ドイツのペーター・アルトマイヤー経済エネルギー相は8月29日、中小企業戦略を発表した。ニーダーザクセン州、ノルドライン・ベストファーレン州、ザクセン・アンハルト州の3州を3日間で巡る、中小企業行脚の第1の目的地ハノーファーでプレスリリースとして公表した。戦略には、これまでないがしろにしていると経済界から批判を受けてきた中小企業への積極的な支援計画が網羅されている。

同大臣は、今回の中小企業戦略の核は経済的な枠組みの改善であり、連帯付加税の段階的撤廃や、法人税率を企業収益の25%までとする上限設定、社会保障の掛け金を被雇用者給与の40%以下に抑えるなどの施策により、税と社会保障の負担を軽減する、としている。法令で定めのある煩雑な事務作業の軽減や、不足する専門人材の確保・育成、資格付与による経営の強化、デジタル化とイノベーションに対する支援、労働法の柔軟化、インフラの充実なども、この戦略で取り上げている。

2月に同大臣が発表した産業戦略は、中小企業の役割が抜け落ちていると経済界から痛烈な批判を受けたが、今回の発表に対し、ドイツ商工会議所のエリック・シュバイツァー会頭は「良いタイミングで発表され、多くの重要課題が適切に設定されている」と述べるなど、経済界は好意的だ。ドイツ産業連盟のホルガー・レッシュ副専務理事は、中小企業の発展にとって重要な施策が適切に示されたと歓迎しつつ、連邦政府にこの戦略を着実に実行することを求めた。

アルトマイヤー大臣は8月31日まで中小企業行脚をし、各地の家族経営企業や研究所、インキュベーターなどを訪問した。そこで重ねた対話をさらなる中小企業支援につなげるという。

(高田勝敏、中村容子)

(ドイツ)

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